米時間20日、トランプ新政権が発足し、トランプ氏は就任演説で「今まさに米国の黄金時代が始まる」という言葉を使って前向きな姿勢をみせた。世界中のメディアがトランプ氏にスポットライトを当てた就任式だったので、お祭りムードが漂った。
ただ、3億4100万人といわれる米国の人口の何割がトランプ氏を推したのだろうか。トランプ氏がカマラ・ハリス氏に勝ったのは間違いないが、圧勝したわけではない。実際の得票数は 7716万8458対7474万9891で約240万票の差だった。得票率では 49.9%対48.3%という僅差で、巷ではトランプ氏が圧勝したかに思われているが、ほぼ互角の戦いだった。
実は大統領選といういうのは、民主・共和両党の候補がほぼ均等に票を取り合うという流れできている。私は1992年から現地取材をしているが、たとえば2004年のジョージ・ブッシュ氏対ジョン・ケリー氏の戦いも、50.73%対48.27%という接戦でブッシュ氏が勝っている。
というのも、一般有権者に支持政党を尋ねると、3割弱が民主党と答え、やはり3割弱が共和党支持と答えるのである。例えば昨年のギャラップ社による調査でも、28%が共和党支持で民主党支持も28%だった。興味深いのは、残りの43%は無党派(インディペンデント)という立場でいることだ。4年ごとの選挙で、無党派の有権者は民主党に一票を入れたり共和党に一票いれたりする。つまり、大統領選というのは、無党派の有権者をどれだけ獲得できるかにかかっているのだ。
昨年はトランプ支持者が「やや多かった(240万票)」ためにハリス氏は敗れたが、3年後はわからない。年齢を考えるとトランプ氏は1期4年を務めるだけかと思うが、「黄金時代」はそう長くは続かないだろう。