いま米国内で、同性愛者による結婚が急速に増えているという。理由を簡単に述べると、来年1月にトランプ政権が誕生した後、同性愛者の結婚が違憲と判断される可能性があるため、「いまのうちに結婚しておこう」との考えがあるためだ。
ご存じの方も多いかと思うが、米国では2015年に最高裁が同性婚を認める判決(オーバーゲフェル対ホッジス裁判)を下したことで、同性愛者の婚姻が許可された。その後、米社会では同性愛者による結婚が「普通」になり、2022年にはバイデン政権下で婚姻尊重法が制定されて、同性婚と異人種間婚の保護が成文化された。
しかしトランプ氏は選挙期間中にトランスジェンダーの人たちに対する差別的発言をしただけでなく、同性愛者に対する問題発言もあったことから、懸念が広がっている。婚姻が成立してしまえば、その後に無効になることはないため、トランプ政権が誕生する前に籍を入れる動きが加速しているのだ。
米東部マサチューセッツ州ピーボディ市にある結婚式場を営むサラ・ナルカスさんはいま、「早く結婚したい同性カップルからの問い合わせの多さに圧倒されている」と地元メディアにこたえている。
トランプ氏は第一次政権時、性的マイノリティの権利を制限する方向性を明らかにした。それまで米国では同性愛者への権利拡大が進んでいただけに、保守層からの反動はトランプ氏の背中を押して、大きなうねりになった。
ある同性愛者がネット上にこんなつぶやきを書き込んでいた。
「ホワイトハウスに誰が座っているかで、私の人生設計が狂わされることなどあってはいけない」