殺人と考える方が自然:ナワリヌイ氏の死亡

このニュースに接した方の多くは「ロシア政府が手をくだしたに違いない」と思われたことだろう。それほど不自然な死だった。

ロシアでは最も名のとおった野党指導者だったアレクセイ・ナワリヌイ氏(47)。ロシア政府当局は16日、同氏が収監されていた北極圏の刑務所で死亡したと発表した。その日、ナワリヌイ氏は散歩から戻った後「気分が悪い」と言い、そのまま意識を失ったという。救急医療チームが蘇生を試みたが、意識は戻らず亡くなった。まだ47歳だった。

同氏の側近レオニード・ヴォルコフ氏はSNSで、「ロシア当局が刑務所でナワリヌイ氏を殺害した」との告発文を公表した。ナワリヌイ氏は死亡前日の15日、刑務所内から動画を発信しており、その映像には元気な姿が写っていた。

米バイデン大統領は同氏の死去を受けて、「彼はプーチン政権によるあらゆる腐敗や暴力、悪行に立ち向かった。それに対し、プーチン氏は彼を逮捕し、でっちあげの犯罪で起訴し、実刑判決をくだした。そして独房に入れさえした。それでも彼は真実を口にすることを止めなかった」と述べた。

ナワリヌイ氏には複数の罪状が課せられていたが、それは当局が彼を拘束するための口実であると言われている。同氏は「未来の美しいロシアへの希望と信念」を決して失わなかったという。彼を支える信奉者たちはプーチン体制の終わりとロシアの政治変革を期待していたが、しばらくは実現が遠のくことになった。

やはり油断すべきではない・・

今朝の日本経済新聞朝刊のコラム「春秋」は、ふたたびコロナの注意喚起をしてくれたという点で読む価値があろうかと思う。

「春秋」は朝日新聞の「天声人語」や読売新聞の「編集手帳」と同じように、毎日1面の下段に掲載されるコラムである。今日のコラムでは、執筆者が2月に入ってすぐにコロナを発症し、痛い思いをしたことが記されていた。筆者は3年前にもコロナに感染していて、その時は丸1日横になっていれば回復したが、今回は「つらい症状」が続いたというのだ。

熱は2日で下がったが、のどの痛みが続き、つばを飲み込もうとするだけでガラス片がのどに刺さったかのような激しい痛みをともなったという。筆者がネットで検索すると、コロナに感染した医師がやはりのどの痛みを訴え、「窒息するかと思った」ことが述べられていた。

苦しくて眠れないほどの症状は1回目の感染ではなかったことだ。メディアは以前のようには騒がないが、専門家によればいまは第10波の真っただ中であるという。確かに感染者数や死者数は減っているので以前のように大騒ぎはしないが、この感染症が消えたわけではない。

けっして侮ってはいけない病である。

トランプ:銃規制撤廃を表明

私に言わせれば、まさに「言語道断」でしかない。時代に逆行する発言が米時間9日、ドナルド・トランプ前大統領から飛び出した。

本来であれば銃規制を強化していくべきなのだが、再び大統領になろうとしているトランプ氏は全米ライフル協会のイベントで、「銃の所有者やメーカーに対するバイデン氏の攻撃を、(大統領に就任した場合)就任最初の1週間、おそらく初日に全て終わらせる」と発言。バイデン政権下で進められてきた銃規制を撤廃する意向であることを明言した。

米国にはいま、民間人によって所有されている銃が約3億9300万丁(from Security.org)あると言われており、減るどころか以前よりも増える傾向にある。民主党と共和党は銃規制についてはほぼ真逆の立ち位置で、銃を減らすことで社会を安全にしていくと考える民主党と自分の身を守るために銃は必要であるとする共和党が意見を対立させており、過去10年以上は共和党の力が優っている。

これまでも銃規制についてはさまざまな媒体で書いてきているが、前向きな動きがが始めたかと思ってもそのあとに逆行することが多く、本質的に米市民は銃の恩恵をうけながら銃所有を肯定している人が多いことが窺える。

ちなみに2007年時点で米国内に出回っていた銃は2億4000万丁。1993年にブレイディ法という銃規制法が施行されたが、時限立法だったために2004年に失効し、再び増加の曲線が描かれている。仮に11月にトランプ氏が再選を果たせば、いま以上に銃による犠牲者は増えると予想される。