選挙戦略を変えたバイデン:「トランプは実存的脅威」

バイデン大統領はこれまでの選挙戦で、自身の大統領としての成果や実績を喧伝することに多くの時間を費やしてきた。だが支持率は上がるどころか下降しており、不支持率の方が高くなっているのが実情なので、バイデン氏は最近になって対抗馬の共和党トランプ候補を攻撃することに重きを置く選挙戦略にシフトしはじめた。

そして2月7日、ニューヨーク市で選挙活動を行ったバイデン氏はトランプ氏に痛烈な批判を浴びせた。使った言葉は「実存的脅威( existential threat )」である。実存的脅威という言葉の意味は平たくいえば「人類の存続を脅かす」ということで、それがトランプ氏であると断言したのだ。

「 There is only one existential threat we face in the world(世界が直面する実存的脅威がたった一人いる) 」

つまり存在そのものをが危険であり、真っ向から否定されてしかるべき人間であるというのだ。

さらにバイデン氏は連邦議会の共和党議員たちが盲目的にトランプ氏を推していることを厳しく非難。議会における共和党は機能不全に陥っているとした。そして彼らが「問題を解決するために(議会に)いるのか、それとも武器として利用するためにいるのか」と疑問を投げつけた。そしてトランプ氏は民主主義にとっての脅威であり、個人の自由を脅かす人物であるとの見方を強めている。

支持率の推移を眺めると、最近はほとんどの州でトランプ氏がバイデン氏を数パーセントリードしているが、こうした個人攻撃が功を奏するのかどうかは微妙なところだ。