新年にあたって

私がジャーナリストとして独立して35年ほどが経つ。「独立」というと聞えはいいが、当時は会社員をやめてフリーランスになったというだけであった。

当時のことを振り返って、以前当ブログで次のように記している。

「(辞めるまで勤めていた米企業の)オフィス環境は悪くなかったが、創造的な仕事ではないし、マネージメントという業務に身をやつさなければならない苦痛はどうしようもない。一刻も早く辞めたい」

ジャーナリストとして活動をしたいという気持ちよりも、当時は「会社を辞めたい」という思いの方が勝っていたのである。ただ辞めた直後から精神的な開放が訪れた。まだ首都ワシントンにいた時のことである。そしてこんなことも書いている。

「この快適にして壮快な生活はいったいどうしたことだろう。あとは貧しくてもこの世に捧げられる、市民のための仕事をすべきであろうと思う」

理想を追いもとめていた時期で、少しでも世の中のためになる仕事をしようとの思いがあった。それではいまはそうした崇高な理想は失ってしまったのかといえば、そうでもない。自身の存在価値というものを突き詰めていくと、やはり読者のために新しい事実や考え方を提示することが私がやるべきことなのだろうと思うし、そこに力を注いでいかなくてはいけないと考えている。

そして今年も全力で伝えるという仕事をしていきたいと思う。皆さま、よろしくお願い申し上げます。