日本の政治が停滞しつづける理由

1月25日から始まった衆議院予算委員会で、菅首相のふがいなさが際立っている。予算委員会での愚鈍とした態度と覇気のない答弁を目にすると、「先進国のトップとして、もう少し何とかならないのか」と思ってしまう。

もちろんお歳でもあり、もともとテキパキと動かれる方ではないことはわかるのだが、首相の一挙手一投足は国民に晒され、国民の潜在的な心理にも影響を与えるので、申し訳ないが「菅氏は官房長官が適役だった」と言わざるを得ない。昨年9月、当ブログで菅氏について書いたが(2020年9月2日)、いま読み返してみて、全く同じ思いが胸に去来した。

そんな時、文芸評論家の小林秀雄と横光利一の対談を読んだ。もちろん2人とも他界しているが、対談が行われたのは2人がまだ40代だった時で、時代を辛辣に斬っている。しかも政治についての語り口も鋭い。

小林はこう述べている。

「新鮮な政治がでてくれば必ず青年を動かし文学運動になる。いま日本に政治を反映した文学運動がないということは、今の政治に新しい思想がないということからきている」

時代が違っても、政治に対する不甲斐なさを感じる人は大勢いたのだ。この対談が行われたのは1947年1月で、当時の首相は吉田茂である。当時から日本の政治には新鮮さがないという印象があったわけだが、70年以上がたったいまも大きな変化はないというだ。どうりで「政治活動に入ります」という若者が少ないわけである。