トランプの反協調主義

今日の昼、ブルームバーグがトランプの日米安保条約破棄の可能性を言及したニュースを配信した。私的な会話のなかでトランプが条約破棄について触れただけなので、いますぐ事態が動くわけではない。

いかにもトランプらしい「反協調主義」の表れであるが、条約破棄の意向そのものは何も新しいニュースではない。大統領選の最中である2016年5月、ほとんど同じ内容のことを口にしている。

日本は日米貿易では黒字が続いており、日本はアメリカに頼らずに自分で防衛すべきという、まっすぐ過ぎる思いである。

だがこれは戦後の両国関係の流れを無視したあまりにもうぶで、思慮に欠けた発言である。3年前も発言直後は問題視されたが、周囲に諭されてそれ以上安保条約破棄について発言することはなかった。

たぶん、今回はG20を前にして日本をけん制する意味があったのだろう。3年前は、米軍が日本から撤退したあとは、日本は核武装することになるといった愚見を述べてもいて、あまりにも詰めの甘い言い分にあきれてしまう。

政治家経験がないことから、外交はいまでも素人であることを証明している。地政学的な日米同盟の重要性も認識しておらず、もっとも信頼できるはずの同盟国を裏切ることになる危険性を理解していない。

これは単に自分勝手というレベルでは済まないことである。アメリカが反協調主義を採ることで、世界がどれだけ不安定になるかをわからないといけない。