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日本外国特派員協会で仕事をしていると、顔見知りのドイツ人記者が「日本史に詳しい?」と訊いてきた。

「詳しくないなあ。世界史の方が知っていると思う」

「そうだった。あなたはアメリカ史が詳しい人だから・・・」

彼は残念そうな顔をする。いちおう何が知りたいのかを聴いてみた。

すると日本の元号(年号)がどうやって決まってきたのかを知りたいという。特に明治以前の元号の決め方が全くわからないと困り顔である。

明治以降は大正、昭和、平成と、天皇が即位するたびに元号が代わってきているので明確だが、それ以前は天皇に関係なく代わっている。誰が決めたのか、というのが彼の質問だった。

即答できなかった。日本人として恥ずかしいし、彼に申し訳ないのでネットで調べてみた。すぐに答えはわかった。

たとえば江戸時代末期、明治元年(1868年)にいたる14年間で元号は5回(安政、万延、文久、元治、慶応)も改元されていた。天皇の交代ではない。

元号を決めるのは天皇ではなく幕府であり、当時は地震や大火、さらに黒船来航といった世の中を揺さぶるような出来事があると元号を代えていたことが分かった。元号を代えることで「次は明るい時代を」という狙いがあったのだ。

ドイツ人記者から質問を受けた10分後に「わかった」と言って、説明すると困り顔は笑顔になった。

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