ロシア疑惑(13)

ロシア疑惑の闇は想像以上に深い。

2016年のアメリカ大統領選にロシア政府が関与していたことは間違いがないというのがロバート・ムラー特別検察官チームの結論であるが、トランプが本当にかかわったのかがいまだにはっきりしない。

ワシントン・ポスト紙は9日、ドナルド・トランプの周囲にいる最低14人がロシア疑惑にかかわっていたと書いた。

「かかわっていた」というのは微妙なニュアンスである。英語ではinteractという単語が使われるが、関与を知っていただけなのか、ロシア政府による選挙介入を手助け(共謀)したのか、それ以上の違法行為をしていたのか、ポスト紙の調査報道でもまだはっきりしていない。

14人の中にはトランプの長男ドナルド・トランプ・ジュニア、義理の息子ジャレッド・クシュナー、長女イヴァンカ・トランプも含まれる。もちろん有罪判決を受けている弁護士マイケル・コーエン、選対委員長だったポール・マナフォート、外交アドバイザーのジョージ・パパドプロスも入っている。

10年以上もトランプの弁護士だったコーエンと選対トップにいたマナフォートが今後刑務所に入ることは確実だが、その状況でトランプだけが「シロ」であることの方がむしろ不思議である。

ムラーは今年5月、「トランプを起訴しない」と発表したが、状況は変わってきている。トランプは今後も知らぬ存ぜぬを貫くと思われるが、状況証拠だけでなく関係者の証言と決定的な証拠がでてくれば起訴もあり得るだろう。16年の選挙戦で、トランプは少なくとも2つの違法行為をしたとの見方もある。

ムラーは12月7日付けで、ワシントン特別区連邦地裁(マナフォート)とニューヨーク州南部地区連邦地裁(コーエン)に新たな覚書を提出した。そのコピーを入手して読み込むと、そこには2人がどれほど無節操に偽証を繰り返し、罪を犯してきたかが記されていた。

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もしかすると遠くない将来、トランプが“ブタ箱”に入ることがあるかもしれない。(敬称略)