どこまでがトランプの考えなのか

トランプが一般教書演説を行った。連邦下院の議場で行った演説。これまでのトランプの演説にくらべると「一皮むけた」感が強い。それくらい「普通の政治家」の演説だった。

野党民主党やメディアへの批判はなく、過去1年間の業績の自画自賛、そして今後1年にむけて超党派で団結していくという内容で、教科書的な一般教書演説となった。

10人以上の功労者を議場にまねき、彼らのパーソナルストーリーを紹介して賞賛。日本で生活している限り、ほとんど触れることのない普通のアメリカ人の良心や優しさを際立たせてみせた。

こうしたことに懐疑心を抱く人がいるかと思う。それくらい多くの日本人にとって、アメリカ人の印象はよくないことが多いからだ。

もちろんホワイトハウス側の演出もあるが、25年間アメリカに住んではっきり言えるのは「日本人もアメリカ人も同じ」ということだ。こころ優しい人は大勢いるし、献身的な人も多い。日本にいるとなかなか見えづらい点だ。

それではトンラプはどうか。一皮むけた演説は本当に彼の本心なのか。

演説内容はスピーチライターによって2カ月以上も練られた「作品」であり、トランプ周辺の高官たちの熟慮のたまものと考えなくてはいけない。

20年前にホワイトハウス内のスピーチライター室を取材した。当時は6、7人のスピーチライターがおり、ほぼ1日1本のペースでスピーチ原稿をかいていた。

一般教書演説はその中でももっとも重要な演説であり、時間をかけて高官とやりとりをして出来上がっていくが、トランプが原稿に目を通すのは最後の最後である。トランプの本心というより、「周囲がトランプにこうあってほしい」という思いが詰まったものだ。

演説後、まだ新たなツイッターを発信していないが、すぐにいつもの暴言がきかれるはずである。(敬称略)

trump2.1.18

Photo courtesy of NPR