これまで出会ってきた人の中で、感銘を受けた人が3人いる。その1人がスターバックス社長のハワード・シュルツである。
ちょうど20年前、西海岸ワシントン州シアトルにあるスタバ本社でインタビューした。いまでも当時を思い出すと胸が高鳴る。
本社はまるで美術館のようで、ありあまる空間の中で若い社員たちが眼を輝かせて仕事をしていた。彼の表情も活気に満ちていた。
私はフリーランスになって7年目。自由に仕事をしていたが、彼のためだけなら会社員に戻ってもいいとさえ思ったほどだ。
その時のインタビューで一番印象に残っているのは、「スターバックスという会社の寿命を20章だての本にしたら、まだ3章でしかない」と言ったことだった。
1997年当時、すでに大成功を収めていて店舗数は世界で6500を超えていた。にもかかわらず第3章目である。
実は今日、最新号の米『フォーチュン』誌を読んでいたら、シュルツの話がでていた。20章立ての本のたとえを再び口にしている。
驚いたのは「今はまだ4章目か5章目」と発言したことである。20年たっても1、2章しか進んでいないのだ。
現在、スタバは世界75カ国に進出し、店舗数も2万6000超まで増えた。にもかかわらず4章目か5章目、である。
実は、シュルツは100年思想という考え方をもっていて、自分は生きていないが、100年後にスタバはこうあってほしいとの実像が思い描けているのだ。
それに向かって着々と世界戦略は展開されているのである。当面の目標は2021年にマクドナルドの店舗数を抜くということだ。
先日、今年4月でCEOを辞めると発表したが、私にとってはずっと憧れのビジネスマンなのである。(敬称略)
Howard Schultz: photo from Twitter