戦争はできない北朝鮮

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(平壌市内に立つ婦人警官)

国会議員を囲んだ定例の勉強会に、朝鮮半島情勢を専門にするT氏が現れた。

もっとも関心があるのは、第一書記である金正恩は本当に戦争をする気があるのかということだ。韓国やアメリカ、また日本に対する脅しはどこまで本気なのだろうか。

最初の質問に対するT氏の答えは、はっきりした「ノー」である。金正恩は米韓と戦争する気などまったくないことが、さまざまな角度からの分析で明らかになっている。

2番目の質問にしても、全面戦争などする気もなければ、準備もできていないことがわかった。単なる空威張りでしかないので、短・中期的な時間軸で北朝鮮が暴発する可能性はほとんどない。

歴史上、どの国も戦時体制に入る前は燃料や食糧など、モノの流れが活発になる。特に北朝鮮の場合、軍備増強のためには石油が必要になる。

北朝鮮は原油を自国内でまったく生産していないので、中国やロシアに頼らざるをえない。戦争をするためには100万トン以上の石油が最低限必要になるが、昨年北朝鮮が輸入した石油は70万トンでしかない。しかも軍事用に使えるのは40万トンだけで、とても他国と戦争をする体勢ではない。

昨年末から石油が通常よりも大量に北朝鮮に渡ったという事実はない。その他物資も、いつも以上に中国から北朝鮮に動いていたというわけではない。

となると、日米韓は完全に北朝鮮の謀略に乗せられたということになる。

ただムスダン発射の可能性はある。それは戦争とは違う。仮に日本かアメリカがミサイル迎撃システムを機能させて撃ち落としたとしても、北朝鮮は報復に出てはこられないというのがT氏の見方だ。

誰もが予想していたことだが、威張りちらすだけで実態がともなわない金正恩の姿があらためて浮かび上がった。