南半球で思うこと

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どこの国を訪れても、その土地ならではの文化が根付いている。

日本ではほとんど馴染みのないものが主役級の座を確保していたりする。オーストラリアではクリケットがそうだ。クリケットほど日本で馴染みのないスポーツも珍しい。

日本での競技人口は1500人くらいらしい。たぶんイギリスの学校に行った人たちが中心なのだろう。というのも、イギリスの学校によってはクリケットが男子の必須科目になっているからだ。日本で生まれ育った人がクリケットに関与する機会はかなり限定される。

オーストラリアではテレビで長時間の生放送がある。ルールによっても違うが、1日で終わらない試合も珍しくない。

日本人でクリケットのルールを熟知している人がどれほどいるか知らないが、私もこちらに来てにわか勉強をした。

1チームが11人という点はサッカーに似ているし、ボウラーと呼ばれる投手が140キロ以上のボールを投げ、バッターがそれを打ち返すという点では野球に似ている。

だが、ほとんど永遠に終わらないと思えるほど長々と試合が続く。バッターがアウトになると次のバッターに交代するのだが、なかなかアウトにならない。

ウィケットという3本の杭に投手のボウルが当たるか、打ったボールが捕球されるか、自らウィケットを倒してしまったり等、アウトのルールも複雑である。しかも打ったボールはクリケット球場のどの方角(360度)に飛んでも構わない。

バッターはボールを転がしたら、その間にウィケットの前に引かれた線を報復することで点が入る。しばらく観ていたらホームラン(とは言わない)も飛び出した。その時は一気に6点が加算される。

だがホームランを打っても球場は盛り上がらない。あまりにも試合時間が長いためか、観客席はガランとしているのだ。

紳士のスポーツらしく、途中でティータイムが設けられていて悠長な時間が流れる。日本で人気がない理由はこのあたりにあるのかもしれない。

クリケットと共に青春時代を過ごせば違うのだろうが、にわか観戦者では心の中にそのよさが響かなかったのが残念である。