日本政治にとって何が究極なのか

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投票日前日、東京7区(中野区、渋谷区)の選挙現場を取材した。民主党現職の長妻昭と自民党の松本文明との一騎打ちといえる選挙区である。

厚労大臣まで経験した長妻だが、民主党劣勢の中、全国的に名前の通らぬ松本文明に追い上げられている。3年前は「ミスター年金」で名の通った長妻が圧勝したが、今年は苦戦している。いまの民主対自民の縮図を見る思いだ。

15日午後5時半、JR中野駅南口に選挙カーの上に乗る長妻の姿があった。黄色いブルゾンを羽織っている。ボランティアもみな黄色いブルゾンを着ている。

ほどなくして首相の野田が応援演説にきた。「接戦だから皆さんの力が必要です」と訴える。

12日間、自転車をこぎこぎ選挙区を駆けまわった長妻は行くところで厳しい声も受けた。この日も聴衆の中から「もういらねえよ」と野次が飛んだ。

ほとんど同じ時間。中野駅北口には松本文明が長妻よりも少し大きな選挙カーの上にいた。グレーのダウンジャケット。運動員はブルーのダウンを着ている。

しばらくして元首相の麻生太郎がきて、民主党政権と長妻の批判を5分ほど述べてから去っていった。

「たまたま通りかかったから、ちょっと聴いているだけです。エッ、誰に投票するか?。民主党はまた次、、だね」

60代の男性はそう言ってから「景気をなんとかしてほしい」と述べた。

有権者が抱える思いはさまざまである。民主が大敗することは間違いないが、長妻をはじめとしてどれだけの現職議員が残れるのか。

大多数の有権者の胸に去来するのは、過去3年の民主党政権が示した負の明滅である。同時に、自民党政権にもどって本当に「日本を取り戻せるのか」との疑問がある。

究極は、政治家や政権が代わっても法案を書く官僚が代わらないということである。(敬称略)