核心は闇のなか

北朝鮮が12日午前、長距離ミサイルを発射した。

新聞やテレビは発射の意図と背景を必死に説明しようとしている。専門家によって解釈がそれぞれ違うので、誰も北朝鮮側の真意を言い当てていないようにも思える。

昨年4月にピョンヤンに出向いて気づいたのは、あの国は労働党幹部から一般国民にいたるまで、今年を「強盛大国」の完成年として軍事的にも経済的にも強国になるために一致団結していた点だ。

「強盛大国」という言葉が使われ始めたのは1990年代の後半で、特に過去5年ほどは今年が金日成の生誕100周年であることもあり、目標期限としてきた。いまは継続される方向にある。

現地に行って驚かされたのは、いまだに金日成があの国家では「神」であり、息子の金正日は「神の子」、孫である金正恩はまだ「坊や」という位置づけだったことだ。

その神の生誕100周年と神の子の1周忌に合わせ、ミサイルの打ち上げに成功して国民を鼓舞することが今回のミサイル発射の最大の動機だったのではないか。特に金正日の遺訓であるミサイル打ち上げを貫いたということがあの国にとっては意義がある。

国連安保理の制裁や日米からの警告などは、北朝鮮にとってはまったくの逆効果であることをそろそろ学ばないといけない。

儒教思想の国家にとって、「外のモノは邪悪で内のモノは正義」という見方は確固としたまま何十年も動くことがない。さらにメンツをたてる文化は日本以上で、今回の成功で「坊や」の顔もたてることもできた。

外圧などに決して屈してはいけないと考えることで、あの国はインターネットの時代にあって、ますます唯我独尊の境地に入りこんでいる。

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ピョンヤン市内の交差点(昨年4月)