福島県飯舘村の選択

昨年の震災から1年3ヵ月以上が過ぎて、福島原発事故への関心が薄らいでいる。

全国的に名が知られた飯舘村の村民3名が21日、有楽町の外国特派員協会で記者会見を行った。全村民が避難しているので村には誰も住んでいないが、3名のうち1人は今でも飯舘村にいる。避難しようが村に残ろうが個人の自由なので、そこに大きな問題はない。

今日の会見で気づいた大きな問題点は2つだ。1つは参加した記者がたったの15名だったということだ。ここでの会見は、多い時は300名に達する。

「ニュースとしては小さい」

会見に参加しなかったドイツ人記者が言った。飯舘村だけでなく、いまだに収束していない福島原発への関心が日に日に脆弱になっている。それによって、問題の核心がぼやける結果になっている。メディアが関心を示さなければ、一般市民が原発に問題意識を持ち続けることは困難だ。大勢の市民が動くことが何よりも大切だ。

2つ目は、村民が皆おなじ解決策を追求していないことである。

考えてみれば当たり前だが、賠償だけでは済まない。カネで解決できる部分もあるが、昨年の3.11以前と同じように戻れないことは同村1539世帯すべての住民が知る。

長年住んできた土地に住めない儚さは当事者でない限りわからないだろう。除染は功を奏さず、村民の49%は今後、時間がたっても「村に戻るつもりはない」との気持ちだ。多くの人は新天地を求めている。

一方で、東電と政府は村民へ十分な情報を開示せず、被爆は本来ならば回避できたはずだった。会見で胸中を語った内藤氏は明言した。

「これは犯罪行為」

福島原発事故で刑事罰という形で責任をとった者は政府にも東電にもいない。誰かの手に縄をかけたところで解決はしないが、責任の所在があいまいなまま時間だけが経っている。これでいいわけがない。