共和党はやはりロムニーか

アメリカ大統領選が面白い展開を見せている。

最初の予備選・党員集会(1月3日)が行われるまで1カ月ほどあるが、共和党レースのトップがことごとく入れ替わっているのだ。

今年8月までの世論調査はミット・ロムニーがトップを維持していた。6月には一時、下院議員ミシェル・バックマンの支持率が上昇したが、すぐににロムニーが人気を取り戻す。8月からはテキサス州知事のリック・ペリーが優勢になる。

9月下旬にふたたびロムニーがリードすると10月からは黒人候補のハーマン・ケインがトップに立つ。そして11月初旬に再度ロムニーが先頭を奪った。同月中旬からは元下院議長のニュート・ギングリッチがトップに来るといった具合である。

そしてケインが3日、セクハラと不倫疑惑によって選挙戦から撤退した。現在の支持率から言えば、ギングリッチかロムニーなのだが、ギングリッチについては7月に私見を述べたように(オバマ対ロムニー)、ほとんど勝てるチャンスはない候補なので、流れとしてはロムニーということになりそうだ。

ギングリッチになぜ勝てるチャンがないかといえば、選挙資金の集金額を見ると(9月末)、ギングリッチの300万ドル弱に対し、オバマはほぼ30倍の9000万ドル弱である。しかも、ギングリッチの選挙対策本部の力はいま乳飲み子くらいに脆弱で、来年1年間、選挙戦を継続できる力はないように思える。

人間的にも、共和党ではケインに次いでもっとも倫理的に大統領として不適格といえるほど問題を起こしてきた。そうなると、「妥当な線」としてロムニーが共和党代表候補に浮上してくる。あと半年で情勢は固まる。(敬称略)