21世紀版:死の商人(2)―新しいビジネスモデル

オバマ大統領の武器バザールが開店―。

首都ワシントンの辛口批評家の間から、オバマ大統領の武器ビジネスを揶揄する言葉が漏れ伝わってくる。

前回(3 月1日)、アメリカはサウジアラビアに対して600億ドル(約5兆円)の武器売却を決めたことを記した。今後15年間に及ぶ取引だが、特定国に対する武器売却としては史上最高額だ。

サウジアラビアは地政学的に中東の要所であり、多くの国にとって最も重要な産油国であるが、武器を売るという点で、オバマ氏はまるで死の商人になったかのようにさえ見える。ただ武器を売る相手はもちろんサウジだけではない。

昨年11月、オバマ大統領はインドに出向き、大型輸送機C-17グローブマスターを10機、売却する最終章に立ち会った。総額41億ドル(約3400億円)の取引である。サウジとの600億ドルと比較すると桁が一つ違うが、対インドへの武器売却としては過去最大である。サウジだけでなく、こちらでも確実に増額の流れが見られる、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。

値段にホッ!

時々、拙著が気になってアマゾンをのぞく。

                    

売り上げの順位は相変わらず低いし、中古本として1円で売られているものもある(『大統領はカネで買えるか?』)。トホホである。

                    

ところが絶版になって、一般書店や古本屋にほとんど並ばない本もある。こうした本はネット上では高値がつくことがある。

                             

その中の1冊が1999年にだしたエイズ薬の研究者の半生を描いた『MITSUYA 日本人医師 満屋裕明-エイズ治療薬を発見した男』である。すでに絶版。出版社に在庫はない。古本屋にもほとんど出回らず、ネット上でも稀にしか出ない。

                        

3月7日午後、なんと100万円の値段がつけられていた。 もちろん私のところに売り上げの一部が入るわけではない。著者がいうのもなんだが、買うな!という値段であり、挑戦的ですらある。

                               

すでに私の手元から離れているのでどうしようもないが、1円もあり100万円もありで、複雑な心境である。 

                                   

    

      MITSUYA 日本人医師満屋裕明―エイズ治療薬を発見した男 

¥ 1,000,000

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中古品 – 良い

北朝鮮のクーデター

脱北者の一人である金光鎮が3日、東京で記者会見を開いた。北朝鮮の元政府高官として、内部事情を知る人物である。いまだに顔写真は撮らせない。

「金正日が死んだ時、軍事クーデターが起こる可能性があります」

  

                   

昨年9月、金正日の三男、金正恩が実質的な後継者に選ばれたが、28歳の三男が朝鮮人民軍と労働党を全面的に掌握できるまでにはなおも長い年月が必要になる。軍の上層部が若い三男の言うことを聞くとは思えないというのが、金光鎮の見立てである。

「金正日でさえ両方を完全に掌握するまでに、ほぼ20年の歳月がかかっています」

専門家の間では北朝鮮が内部崩壊した時のシナリオがいくつも描かれている。もっともあり得る時期は、金正日が死亡した時だ。彼が長命であれば、三男への移行はよりスムーズかもしれないが、「近い将来」となると、三男では北朝鮮はまとまらない。

実は金正恩がお披露目された昨年9月、党の規約27条が改正されている。国防委員会の力が大幅に弱まり、労働党中央軍事委員会が北朝鮮の最高機関になった。その時、三男は軍事委員会の副委員長に就いた。

これは金正日が死亡したとき、三男が委員長としてトップに立つことを意味する。しかし、名目上のリーダーと実質的な権力の掌握とは別である。

金光鎮によれば、「三男は故意に風貌を祖父、金日成に似せることで威厳を出そうとしている」らしいが、真の政治力が28歳の若者にあるわけがない。

「今後は北朝鮮からの挑発行為がより頻繁に起こるはずです。そのサイクルは今後、ますます短くなるでしょう」

近隣諸国で唯一、北朝鮮に影響力のある中国も経済協力こそ行っているが、政治的な助言はほとんど効力を持たない。金正日は聴く耳をもたないのだ。

世界の動きから自らを隔離している北朝鮮。同時に、自らを追い詰めているようにしか思えない金体制はいつまで持続するのだろうか。(敬称略)

21世紀版:死の商人(1)―新しいビジネスモデル

カネ儲けのために兵器を売る ― 死の商人。

今に始まったことではない。しかしこの言葉の持つイメージと対極に位置すると思われるオバマ大統領が、その担ぎ役であったならばどうだろうか。

市民活動からスタートした政治家、オバマ氏が武器商人というレッテルを貼られること自体、ゆゆしきことである。戦争という現実を最大限の努力で回避することこそ、これまでの大統領の政治姿勢であったはずだ。だがそれは理想論でしかない。

今回、ここで陰謀論を弄するつもりはない。オバマ氏が極秘に国外へ武器を売却し、利益を個人口座に振り込ませているわけではない。しかし、大々的に喧伝されていない中で、オバマ政権による他国への武器輸出増加の流れが強くなっているのは事実である。

それは不況時に誰もが考えつくビジネスモデルの一つである。他国に武器を売り、低迷したアメリカ経済を少しでも上向かせ、雇用を創出させる。それが兵器ビジネスであっても、である。死の商人というレッテルが本当に相応しいのであれば、オバマ氏の倫理感が崩れたということだ、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。