アメリカのいじめ

教育ほど大切なものはないだろうと思う。

私は教育者ではないが、教育への投資は本質的に将来への投資であり、長期的な国家の繁栄を願うのであればふんだんに予算をさかなくてはいけない。

ただ教育現場には問題が山積している。その一つがいじめ(bullying)である。

ホテルでCNNを観ていると、いじめの特集番組を放映していた。最近、アメリカでいじめを受けたいたティーンネイジャーが立て続けに自殺を図ったこともある。番組にはいじめを受けていたゲイの少年やイスラム教の女子が赤裸々に陰湿ないじめの実態を語っていた。

近年ではインターネットや携帯を使った個人攻撃が顕著で、それは日米で共通している。かつては「いじめを受けたら転校すればいい」と、親が子供を違う学校に入れ、それで解決することもあった。けれども、ネットで世界中がつながる今、他校に移っても執拗ないやがらせを受ける子供たちは後を絶たない。

メディアがいじめに注目し、議論する場が増え、教育関係者や親が真剣に取り組み、いじめをする本人に行為をやめさせる現実的な手だてが打てなければ意味がない。政府が学校ごとに「いじめはありますか」といった調査をする行為は30年前に通り過ぎていなくてはいけない。

番組で、1人の教育関係者が的を得たことを口にした。

「数学ができない子供たちがいたら、教師や学校は補習授業を行うかもしれない。いじめも同じで問題を直視して、それに対応する授業や講義をシステムとして取り入れなくてはいけない」

むしろ、いじめが発生する前に予防的な措置として、必須の授業にしたらいい。いつの時代にもどこの世界でもいじめは発生するが、そのメカニズムには共通する部分があるはずである。

どうしてもいじめられる子供に目が向きがちだが、いじめる子供に焦点を当てていかなくては解決はない。