中間選挙まであと4日

日本では相変わらず関心が薄いアメリカの中間選挙まであと4日。

連邦下院議員の435人と上院議員37人(任期6年:定員100人)が選ばれる。日本で言えば衆参ダブル選挙にあたるが、選ばれるのは連邦議員だけではない。あまり話題にならないが、37州では知事も選ばれるし、州議会の議員や市長、地元の評議員などの選出もある。またカリフォルニア州ではマリファナ(医療目的)の売買を有権者に問いもする。

アメリカの投票所に足を運ぶと、投票用紙には選択しなくてはいけない項目がずらずら並んでいる。これは大統領選挙の年も同じで、日本ではアメリカのローカルネタに関心が及ばないのでほとんど報道されない。

もちろん最大の関心は連邦議会の多数党が民主党から共和党に移行するかどうかにある。下院は共和党がほぼ間違いなく218という過半数を奪うとみられる。一方の上院は微妙である。8月のブログですでに述べたとおりである(普通の状態へ )。

中間選挙は歴史的に投票率が40%に満たないことも多く、一般有権者の関心は低い。大統領を選ぶわけではないので、本当に政治に関心がある人しか投票所に足を運ばない傾向が強い。というより中間選挙は現政権に不満のある人が一票を投じにいく選挙と言える。つまりオバマ政権の信を問う選挙なのである。

今月のアメリカ取材で目の当たりにしたのもその点につきる。

ティーパーティー(茶会党)に代表されるように、過去2年でオバマ政権が行ってきた景気対策や金融機関救済、医療制度改革は「大きい政府」の行政であると反発する。税金の使い過ぎであるとの不満が全米で噴出している。

ティーパーティーのTEAはボストン茶会事件から派生しているが、同時にTax Enough Alreadyの略でもある。全米で600以上の団体によってティーパーティー運動が起こされてはいるが、運動を統一する著名なリーダーは登場していない。さらに確固とした政策も見えない。反対!というパンチに過ぎない。

                                 

     

                                                   

こうした右からの政治的反動は過去200年以上に渡るアメリカ史を振り返るといくつも浮上してくる。独立運動時、フェデラリスト(連邦派)に反対した反フェデラリストもそうだし、20世紀に入ってからは反共主義団体として名高いジョン・バーチ・ソサエティなど少なくない。ある意味で、民主主義の健全な現象と捉えられる。

ワシントンのブルッキングズ研究所の上級研究員トーマス・マンも「国家統制主義への反発はつねにあった。よく見られる政治活動」と述べる。 

11月2日は民主党が負ける運命にあるので、連邦議会での議席は減る。それによって今後2年でオバマ政権と共和党議会が政治の本質的な歩み寄りを実践できるかどうかが焦点となる。

ねじれという「普通の状態」になった時、突っ張るだけでは政治が前に進まないことを学ぶ時期でもある。ロバート・サミュエルソンが今週、コラムで的を得たことを書いていた。

― 目先のことに心を奪われる政治家にとっては、政治は権力である。手に入れ、保持し、使おうとする。だが国家にとって、政治の本質は調停である ―

今のアメリカは民主と共和という政党が両極に開ききっている状態にある。アメリカに学びの時期がくることを期待する。(敬称略)