ペンギンの世界

今年6月、速読の集中講義を受けたあとも大量の本を読んでいる(参照:速読がやってきた)。

速読のレベルはいまだに初心者の領域をでていないが、200ページ前後の本であれば15分から20分で読めるようになってきた。ありがたいことである。そうなると、本屋に1時間いると3冊の本を読める計算になる。

もちろん買う本の方が多いが、面白そうだと思って最後まで読んでも、「もうひとつでした」という本の方が多い。過去3ヵ月、読んだ本をずっと点数評価しているが、10点満点で「10」を出した本はいまだにない。

アマゾンでは読者が本の評価を星印でしているが、5つ星が多く、ずいぶん甘い評価だなと思う。満点をどうして簡単に出すのだろう。本当に満足してしまうのか、それとも基準が甘いのか、私にはわからない。

速く読めるようになっても、ゆっくり読む時もある。限りなくスピードアップする時と、比較的のんびり活字に目をはわす時と両方あるので、読書の幅がひろがった。

速読を学んでもう一つよかったのは、自分の専門以外の本を読むようになったことである。思い返すと過去2,3年読んできた本の9割はアメリカ関連を中心に、政治、経済のノンフィクションの書籍だった。ところが今は小説も読むし、まったく違う分野の本も読む。

たとえばブータンの文化やペンギンの生態といった内容の本だ。高校、大学で本の面白さを知り始めた時のような感慨がある。

その中でも『ペンギンの世界』(上田一生著)は出色の面白さだった。8年前の本だが、楽しい書籍である。ペンギンはいま、世界に18種類、6000万羽いるという。

        ペンギンの世界 (岩波新書)

この本を手にしたとき、「昔は空を飛んでいたのか」という疑問が脳裏に宿ったが、その問いにしっかり答えてくれた。そして南極にいってアデリーペンギンと向かい合ったような感覚がおとずれ、胸が一瞬ホワッとした。

南極にはまだ足を踏み入れたことがないので「いずれは」と思っていたが、その思いが「行こう」に変わりつつある。