民主党政権が誕生しても、「相変わらずだなあ」と思うのが日本の安全保障問題への姿勢である。
党内にはこれまでも安全保障問題に取り組んできた議員はいるが、党本部や国際局が外交政策や安全保障政策を国家戦略という立場から立案してきた経験がないので、あたふたとしたまま時間だけが過ぎている。こうした態度は自民党も同じだった。
なにより外務省に安全保障戦略の大局的なビジョンがないので、民主党が政権をとっても大きな変化はない。外務省の人間にこういう話をすると「そんなことはない」というが、大枠では日本は戦略をもたないと断言してもいい。 アメリカの態度を見ながら「方針」を決めてきただけである。
最近の普天間基地の移設問題が好例である。沖縄に住む人たちにしてみると移設は大きな問題だが、一国の安全保障問題の中の一案件であって、外相の岡田からも鳩山からも東アジアの安全保障の枠組みの中でどうしなくてはいけないという発言はきかれない。「方針」という言葉をつかっている。
これは日本が自分たちの安全保障戦略を敷いていない証拠である。それでなければ移設問題でこれだけの時間とエネルギーを費やすことはない。メディアの中にも戦略という概念を本当に理解し、そこから報道している記者はほとんどいないだろう。
それでなければ「普天間、普天間」と騒いだりはしない。というのも、それより大きな問題があるからだ。
インド洋上での給油問題にしても、継続するかしないかといった些末な議論ではなく、戦略としてアフガニスタンでの対テロ活動に法律の枠内で積極的に加担していくか、さもなければオバマ政権に米軍のすみやかなアフガン撤退を国際活動として進めていくかのどちらかの行動を起こすという自然な流れがある。
だが、相変わらずアメリカの顔色をうかがいながら「どうしようかなあ」という態度でいるのがいまの民主党である。
by the Pentagon
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