誰しもがいくつかのこだわりをもっているかと思う。自分の流儀というものだ。
そこまで大げさでなくても、飛行機に乗るなら日航ではなくANAにしているとか、シャンプーであれば資生堂ではなくロクシタンに決めているといったものだ。私はどちらでもいい。
食べものについても多くの人がこだわりを持つ。こだわりというより「自分の好きなモノ」と書いたほうがいいかもしれない。論理的なことにとらわれず、好き嫌いで決められるのでスッキリする。
私は食べ物にたいへん興味があるので、日本にいても外国に行ってもできるだけいろいろなものを食べるようにしている。ただひとつだけ、妥協しないモノがある。
鮨である。
そのほかの食べ物はファーストフードでも屋台でも、その場に応じてなんでも食べるが、鮨だけはおいしい店にしかいかないことにしている。たまに例外はあるが、、、、。
おいしいという言葉はひじょうにあいまいだが、自分の中の基準を満たす店だけということである。これは自分で決めている「ちょっとした贅沢」である。
だから回転ずしにはいかない。お腹がへっていて目の前に回転ずししかないような時でも、いや、そういう時だからこそ回転ずしには入らない。それならコンビニに入っておにぎりを食べる。
接待で鮨屋にいくこともあるが、気分的においしさが半減すると同時に満足度も下がるので、自分でいく。日本全国にどれくらい鮨屋があるか知らないが、私の基準の「ウマーイ!」水域に入ってくるのは30店前後しかないだろうと思う。
もちろんそうした店にネタケースはない。ネタケースは冷蔵庫なので、そこからネタを出してすぐ握っている鮨屋は水域外である。「ウマーイ!」鮨屋は自分のためにシャリを用意してくれ、さらに途中でシャリを差し替える。
会席もすばらしいが、鮨も繊細かつ精緻で、透き通るように美しい食べ物である。それだけにこちらもこだわざるを得ない。
満足のいくまで食べると少々値が張るが、鮨屋にいった時だけは伝票を気にしないようにしている。
最後に、最近気に入っている鮨屋をご紹介しておく。
鰤門(しもん)。銀座5丁目。