地ビール

信州を旅している。

今日は凍てついた軽井沢にいる。午後3時の気温が摂氏4度。浅間山の山頂は天からの白い贈りものでおおわれている。

夏場の軽井沢駅周辺は原宿のような雑踏らしいが、いまは誰も近づきたがらないようで、歩道でキャッチポールをしても誰にも迷惑をかけないほどだ。

日本中、どこへいってもそこでしか手に入らないものがある。今日、出会ったものにはカルビーからでている「ジャガリコ」野沢菜味(信州限定)とオラホという地ビールがあった。

オラホは信州の言葉で「私たち」という意味だ。地ビールは全国に100ほど醸造所があり、オラホビールはその一つだ。今年8月に行われた国際ビール大賞でアンバーエールが銀賞を、ゴールデンエールが銅賞を受賞した。

アンバーエールを味わった。泡立ちも香りもいいが、いささかさっぱりしすぎていて冷水を飲んでいるような気がしないでもない。けれども、大手メーカーのビールにはない新鮮さがある。

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Let’s make a toast to our life!

Happy coming new year!

寒波の本当の理由

日本をふくめ、欧米が寒波に見舞われている。

テレビニュースの気象予報士が「寒波の理由は、、、、」といったので、そのあとに続く言葉に全神経をそそいで観ていた。

「北極を中心に、時計と逆回りの偏西風の蛇行が影響しているからです。地域によって偏西風が南に蛇行して気圧の谷をつくり、そこに寒気が入り込んでいるのです」

私はテレビに向かってヒトコトいった。

「それは理由になっていない」

偏西風が南に蛇行しているのは現象であって、どうしてそうなるかを知りたかった。ましてCOP15が終わり、地球温暖化が世界的に騒がれているなかでの寒波襲来である。それが一時的なものなのか、それとも今冬はずっと寒いのか、本当の理由はほかにあるのかが私の関心がいくところだった。

先月のブログ(気温のナゾ )でも書いたように、温暖化は化石燃料の燃焼以外にもあるというのが私の考えである。実は2年ほど前から、今年から数年間は太陽活動の停滞が騒がれていた。

それは太陽黒点の周期の長さと北半球の気温変化との相関関係をみればあきらかで、07年にロシアのアブドサマトフ天体観測研究所が、黒点の数が減って17世紀から18世紀にかけてみられたミニ氷河期がふたたびくるかもしれないと予測していた。

           

                           

今年になってからも、冬は100年に一度の寒さかもしれないとの見方がでていただけに、気象予報士からはこうしたニュアンスの説明があるかと待っていたが、まったくなかった。

これはもちろん学説の一つにすぎないので、断定的に述べることはできないにしても、こうした説もありますくらいの話は聞きたかった。

私は科学者ではないが、さまざまな論文をよむたびに温暖化が温室効果ガスだけではないという考えに傾いてきている。二酸化炭素などの温室効果ガスの赤外線吸収波長域は15マイクロメートルに限定されていて、地球温暖化の原因になる気体中、二酸化炭素はせいぜい3%にとどまるとも言われる。

そうなると太陽活動が地球の気温にもっとも影響をおよぼしていることになる。

かりに今後2,3年でミニ氷河期といわないまでも、極寒の冬と冷夏が続いたとしたら、温室効果ガスの主張者たちは「二酸化炭素は心配いりませんでした」と弁解するのだろうか。

フロスとゴミ袋

毎日、日本だけでなく世界の出来事に目をくばっている、つもりである。

その中で多大の関心は、やはり人生のほぼ半分を過ごしたアメリカに向く。日々のニュースだけでなく、絶え間のない日米比較が頭のなかをかけめぐる。

日本能率協会の月刊誌で「上陸するアメリカ・しないアメリカ」というテーマで連載をしている。そこではアメリカの諸事情について、これから「日本にやってくるモノとそうでないモノ」という分類で論考を加えている。

                                                                  

たとえば司法取引。

これはアメリカの刑事事件では当たり前のことで、ほぼ9割の犯罪が検察と容疑者のあいだでとりかわされる取引によってカタがついている。コンビニから雑誌を盗んだというささいな窃盗罪から、数百億円の被害がでた産業価格カルテルまで、司法取引なしにアメリカの刑事事件は収拾しない。

けれども日本の司法界には違う論理が流れており、アメリカのような司法取引は原則として行われていない。そこには真実の追求を大切にする日本らしい文化があるためだ。今後、アメリカ流の司法取引が上陸する可能性は低いだろう。

そのほかにも日常生活レベルで「これは日本の企業につくってほしい」とか、「これは日本社会には合わない」というものが山ほどある。

すでに上陸したものではデンタルフロスがある。日本での歴史は浅く、いまだにフロスをしない人も大勢いるが、アメリカではすでに100年以上の歴史がある。日用品大手のジョンソン&ジョンソンがフロスの特許を取得したのは1898年のことで、日本には100年近くたってから出回りはじめた。

私がいま、ぜひ企業に作ってもらいたいのはアメリカで使われているゴミ袋である。日本のコンビニやスーパーで売られている30リットルや45リットルの袋は、1枚を取り出そうとする時にほぼ例外なくスムーズにでない。

さらに硬いものを入れると袋の横がさけやすいし、ゴミを目いっぱい入れてしまうと縛りにくい。けれどもアメリカの袋は指摘したすべての問題を解消している。

まず袋はティッシュ箱のようになっているので、すぐに1枚を抜きとれる。さらに材質が強いものが多い。そしてゴミ袋の開いた部分にヒモがついているものが多いので、簡単にしっかりと縛れる。

精巧なモノを作ってきた日本がどうしてこの分野でアメリカ製品に遅れているのか、理解できない。企業人が気づいていないだけなのか。早い者がちという気もする。

どなたかに、ぜひ作っていただきたいと思うことしきりである。

未知なるフード

それにしても、食べるものは奥が深いと思う。

外国特派員協会で机を並べて仕事をしているドイツ人記者が、先週末自宅でのクリスマスパーティーに招いてくれた。彼が作ったドイツ料理はブレーメン風ということだったが、メインの鶏料理とグリューワイン(ホットワイン)は生まれて初めて味わうものだった。

特にグリューワインはクリスマスシーズンだけだという。赤ワインを鍋にいれて火にかけ、オレンジを絞り、シナモンなどの香辛料を加え、さらにラム酒をいれる。サングリアのホットバージョンである。

              

ドイツだけでなく、フランスをはじめとするヨーロッパ諸国ではこの時期によく飲まれるという。知らなかった。パーティーに来ていたイギリス人は「イギリスでも飲む」と言った。英語ではMulled Wineという。

けれども、アメリカではほとんど見かけない。私が出会ったことがないだけかもしれないが、25年間のアメリカ生活で暖かいワインを飲んだ記憶はない。この時期であれば、やはりエッグノッグである。

パーティーでは食べものにも話がおよんだ。中国人もいて「日本には餃子がない」と驚くことをいう。

日本の餃子と中国の餃子が違うことはすでによく知られている。日本では焼き餃子が一般的だが、中国で餃子といえば水餃子ある。それはずいぶん前から知っていた。

でもその女性はその違いだけでなく、中国では皮が薄いものを餃子とは呼ばないといった。確かに中国でたべる餃子はどれも皮が厚い。それはそれでおいしいが、日本ではむしろ皮が薄いほうがおいしいとされているように思う。

国だけでなく土地が変わるだけでオリジナルから派生した別バージョンの代物が登場するのが文化の特質であり、面白さである。だから、食べものの好みは捉えられないくらいに広い。

しかし、違ったものがある以上、私はオリジナルとそのほかのバージョーンをすべて味わってみたいと思う。