核兵器のない世界

24日の朝7時半からFMラジオのJ-WAVEに電話出演し、オバマの国連での核不拡散・核軍縮への取り組みについて話をした。

前夜、鳩山とオバマの初会談がニューヨークであったが、ディレクターは核問題に絞りたいという。なかなか分かった人である。番組では日米会談にはまったく触れずにオバマの核問題への姿勢と今後の課題についてだけナビゲーターの別所哲也と話をすすめた。

   

      

                                                            

鳩山が渡米前に少しばかりアメリカを挑発する論文を書いたからとはいえ、それで日米関係が音をたてて崩れることはない。アメリカ側からすると、日米会談は重要テーマではない。

「ジャパン」は案件ランクの中ではトップ10にさえ入らないだろう。それは両国が現段階で波風のない関係を維持しているという印でもある。新聞は日米同盟をことさら取り上げるが惑わされてはいけない。

理想主義路線をいくオバマの野望は、核兵器を「作らない、売らない、買わない」という不拡散と、保有国に対しては「減らしていく」という軍縮の流れをつくる点につきる。それは昨年の選挙中から念頭にあった「核兵器なき世界」への実現でもある。

4月にプラハで行った核廃絶の演説の内容を実現させたいとの意志が、安保理首脳会合での議長役を買った動きに表れている。アメリカ大統領でここまで大胆に踏み込んだ人はいなかった。

ただ核を保有する5大国をふくめ、インド、パキスタン、北朝鮮らがみずから核兵器を手放すことがあるかというと、残念ながらその答えは否定的である。先週までのアメリカ取材で話をした外交専門家は、「今後はサウジアラビアやヨルダンも核保有を探っており、保有国は増えこそするが減りはしないだろう」と現実の厳しさを語る。

オバマの取り組みは重要だし、世界的な動きとして推進すべきだが、国防長官のゲーツはアメリカの核弾頭の新型デザインを考慮しているくらいなので、廃絶にはあと10年はかかりそうな気配である。(敬称略)