資本主義はすでに死んだ?

ギリシャの元財務大臣であり経済学者のヤニス・バルファキス氏が『テクノ封建主義(Technofeudalism : What Killed Capitalism)』という新著をだして話題になっている(邦訳はまだ)。

この本の副題に示されているのは、冷戦が終結し、世界中がグローバリズムというものに席捲されている今、誰が資本主義を殺し、新しい時代には何が待ち受けているのかということである。

著者のバルファキス氏は資本主義は打倒されたのではなく、別のものになってしまったという。それを『テクノ封建主義』と名づけている。資本主義が終焉を迎えたのはマルクスが予言したような方法でなく、資本主義そのものに矛盾があったからで、資本と労働という対立が悪化して自滅していくという推論を展開している。

その中で興味深い指摘は「クラウド資本」というものが現在の市場を消滅させて、別のものへと移行していくということだ。つまり社会主義でも資本主義でもなく、新しい体制ができつつあるというのだ。まだ私も本書を手にとっていないので詳細はつかめていないが、是非手にとってみたい本である。

夢に出てきたケーキ

今朝、ケーキの夢をみた。ショーケースに並んだケーキは以前どこかで目にしたような記憶があった。自身のパソコンファイルでこれまで撮った写真を眺めていると、ありました。

2018年9月にチェコのプラハに行っており、その時に撮った画像が出てきたのだ。暫く海外に行っていないので、そろそろどこかに行かないと思うことしきりである。

スーパーチューズデー(3):トランプ好きの精神構造

トランプ氏がスーパーチューズデーで圧勝したことにより、11月の本選挙は「バイデン対トランプ」という流れができた。米国では約半数の有権者がトランプ氏を推しているかに思えるが、米独立調査機関「ピュー・リサーチセンター」の調査によると、63%の米国人はトランプ氏を「好ましくない」と答えていることがわかった。

63%もの反トランプ派がいながら、なぜ予備選ではトランプ氏に票が集まり、共和党の代表候補になろうとしているのか。そこにはなかなか表には出てこない人間の心理が作用しているかにみえる。

かつてドイツにエーリヒ・フロムという社会心理学者がいた。同氏が書いた『 自由からの逃走 』という本を読むと、人間は何故ヒトラーのような独裁者であり殺人者を支持するようになったかが解き明かされている。トランプ氏はヒトラーではないが、ある意味で横暴で独善的な行動をとりがちな政治家という点では共通項があり、いつの時代でもこうしたリーダーは一定層の市民から支持を得ることができるという。

人はおうおうにして特定の人に従属し、破壊行為に加担したり、独裁的な政治体制に身を置くことがある。組織を破壊にまで追いやるリーダーの愚行に熱狂的なまでにつき従う追随者が存在しもする。時に人は追随することの心地よさを知ると、リーダーが多少非倫理的なことをしても許容し、つき従うというのだ。

同時に、多くの人は生きている間中、従う相手を求めている。つき従うことの心地よさを覚えると、絶えず導いてくれる人を求めるものだという。そうした点では、良い悪いは別にすると、トランプ氏は強いリーダーといえるのかもしれない。 『 自由からの逃走 』 を読みながら、そんなことを考えた。

スーパーチューズデー(2)

米時間3月5日(火)は全米15州と米領サモアで予備選が同時に行われるスーパーチューズデー。この原稿を書き始めた日本時間6日午前11時10分の時点でもすでにドナルド・トランプ氏が圧勝の形勢で、予想どおり対抗馬のニッキー・ヘイリー元サウスカロライナ州知事に大差をつけている。

「あのトランプ氏がどうして支持されるのか」との思いを抱かれる方は多いかと思うが、これまで当欄で記してきた通り(トランプが強い理由)(トランプの支持率がいまだに高い理由)、バイデン氏に対する失望や「トランプ復活」を願う有権者は思っている以上に多いことが今日の選挙結果で示されるかと思う。

Super Tuesday GOP National Map
from the New York Times

現段階ですでに15州中10州でトランプ氏に当確がでており、ほぼ間違いなく11月は「トランプ対バイデン」の戦いになるはずだ。

仕事への熱意

すでに旧聞に属する話かと思うが、日本の会社員で熱意にあふれる社員は全体の6%であるという統計がある。あまりにも少ない数字なので愕然とさせられると同時に、本当なのかとの疑念も沸く。ギャラップ社が昨年行った世論調査でも、熱意あふれる社員は5%という数字だったので、勤勉でよく働くと思われている日本人は意外にも仕事熱心ではないということになる。

「やる気のない社員」というカテゴリーでは70%の会社員が仕事に対して熱意をもてずにいるという。嘆かわしいという思いと同時に、どうしてここまで低率なのかを考えざるをえない。

ちなみに米国では熱意あふれる社員は32%で、日本のほぼ5倍だ。ギャラップ社によると、世界139ヵ国中、日本は132番目で、最下層の一角を成している。

通勤電車で乗客の表情をみているだけでも、「これから楽しい仕事が待っている・・・ウキウキ」と思わせる顔つきをしている人はほとんどおらず、「アーア、また嫌な上司と顔を突き合わせなくてはいけないのか」との思いを胸の奥にしまい込んでいるような人が多い。

こうした否定的な思いが流布したのは、第一に「給与が上がらない」、第二に「忙しすぎる」という理由がくる。さらに「上司から真っ当な評価を受けていない」や「仕事そのものがつまらない」といった理由がつづく。一方、米国の大企業は社員の仕事への満足度をあげるためにEH(Employee Happiness=社員幸福度)という尺度が使われ、できるだけ楽しんで仕事をしてもらうための努力が払われているようになってきている。

日本の通期電車の乗客に笑顔が生まれる日はくるのだろうか。