ペンタゴンのダイエット:新孤立主義

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by the White House

ペンタゴンがダイエットをする?

過去10年以上、アメリカはアフガニスタンとイラクで多くの米兵の死傷者を出してきた。戦費もかさんでいる。戦争はもうたくさんというのが多くのアメリカ人の本音だ。

ペンタゴン(国防総省)もそのあたりをよく理解しており、本国のはるかかなたでの戦争はいい加減にして、そろそろダイエットしましょうという言い方が登場している。それが「The Pentagon is on a diet」という表現だ。

オバマは大統領になる前からアフガニスタン、イラクでの戦争を終わらせると言い続け、2011月末にイラクから完全撤退した。最近またイラク国内でのテロ組織による活動が活発化しているため、イラク政府はホワイトハウスに米軍の再派兵を依頼したが、いまのところ検討していないという。

オバマ本人だけでなく、政権内部の人間もどうやら中東問題への軍事介入はできるだけ控えたいらしい。こうした姿勢を米メディアは昨秋から「新孤立主義(New Isolationism)」と呼んでいる。

オバマ版の新孤立主義は前向きな思考の結果ではなく、「他人のことはもう知らない」的な態度による悲観的で消極的な心持ちからきているようだ。

となると、過去何十年も言われていたアメリカによる「覇権」というものとは縁遠くなる。

オバマ政権の任期終了まであと3年。アメリカは小さな巨人になりつつある。(敬称略)

文化が違うということ

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日本に届いた『ブルームバーグ・ビジネスウィーク』誌の最新号を手にして、ハッとさせられた。

お馴染みのウィリアム王子とキャサリン妃が、アメリカン・カジュアルの代表ブランドJ.Crew(J.クルー)の服に身を包み、カメラの前に立っている。イギリス王室が特定ブランド、しかもアメリカのブランドに加担するような行動をとったのか?

よくできた写真なので、最初はそう思った。だがページをめくり、合成写真であることがわかる。

ここでJ.クルーの宣伝をするつもりはないが、11月1日にイギリス初の旗艦店をロンドンにオープンさせた。さらに2カ所の小売拠点を市内に開くとも発表。そこではイギリス王室御用達のシャツメーカー、トーマス・メイソンのシャツも取り扱われるという。

ただ王子と妃が合成写真の使用を認めたとは書かれていない。もちろん無断で彼らの顔をモデルの体に貼り付けたのだ。

日本で皇太子と雅子妃に同じことをすると、日本中からひんしゅくを買うだろう。だがイギリスをはじめ、ヨーロッパでは合成写真を大手メディアが掲載することは普通である。

すぐ横で仕事をしているスイス人記者に写真を見せて訊いた。

「普通のことでしょう。王室の人間だって、大統領だって対象になってしまう。それで何か問題でも?」

日本で同じことをするガッツのある雑誌も新聞もない。ガッツというより、皇室に対する心持ちが欧米と日本では大きく違うことが今回の合成写真の一件でよくわかる。

雑誌発売後すでに1週間がたつが、キャサリン妃から「いい加減にしてよね」といった話は出ていないし、英王室からのクレームもないらしい。

オバマの耳はスパイの耳?

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by Build (ビルト:ドイツで最大の発行部数を誇るタブロイド紙)

友人のドイツ人記者が送ってくれた『ビルト』の1面にでた合成写真。アメリカのスパイ活動は長年、世界中に及んでいる。ヨーロッパらしいパロディー写真。

またしても「なんとかならないか」

30年ぶりのソウルは、唖然とさせられることの連続だった。

都市人口はすでに1000万人に達し、町の煩雑ぐあいは東京と違いがない。高いビルもあるが、ニューヨークや上海ほど高層ビルが乱立しているわけでもない。

30年前、町を上から見下ろすと茶色い瓦屋根が並んでいて、山々に囲まれた城下町のような風情があった。だが現在、その面影はない。建築物に統一感はなく、町に新しい建物が少しずつ付け足されていっている。

勝手気ままに好きなように建てるという文化は日本を含めたアジアの特質と呼んでいいかもしれない。和合の民と思われるアジア人だが、建築物については周囲の色調に合わせるとか環境を配慮してという意識がいまだに低い。

ただ食についてはそれぞれの国や地域が独自の色をもつ。それは他では真似できない強靱さで迫ってくる。焼き肉を含めた韓国料理は、日本ではもう食べない方がいいと思えるほどの力強さだ。

今回、ソウル在住の友人に案内されたこともあり、あらためて隣国でありながら日本の韓国料理が「こうも違うか」と思わされる店の数々、料理の数々で参ってしまった。

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これは以前のコラム(フォーリンフード )でも書いたとおりで、本国を越える食べ物は他国では食せないということだ。

どの国でも大多数の顧客を満足させることでレストランの経営が成り立っているので、「本場の品」でなくとも構わない。いや、日本では日本人の味覚に合ったメニューでないと経営は成り立たない。

それはよく承知しているつもりだが、「なんとかならないのか」という思いがまたしても募るのである。

なぜ日本は後手に回るのか

これは日本だけに限ったことではない。アメリカ以外のすべての国と述べた方がいいだろう。

日本を含めた世界中の人からアメリカほど嫌悪感をもたれる国はないが、同時に潜在的羨望を抱かれる国もない。IT業界だけでなく医療から音楽にいたるまで、じつに多くの分野でアメリカは主導的立場を維持している。これは紛れもない事実である。

日本でも近年、30歳前後の起業家がITを使った新ビジネスや生き方を提唱してメディアから注目されているが、アメリカを越えていない。申し訳ないが「その程度ですか」といったところだ。

なにしろ彼らはヨーロッパや中南米の国々に影響をおよぼしていない。もちろんアメリカの特定市場を席巻するような新進企業にも個人にも成長していない。

これは書くことを生業とする私も同様なので、他人を責めてばかりはいられない。英語で書かれた本が何万部も売れているわけではない。以前、英語でエッセイや評論を書いていたこともあるが、英語市場では敗者といっていい。

言うまでもないが、タブレットもアメリカに先を越されている。2003年にソニーや松下電器(現パナソニック)がタブレット市場に本格参入していたことはよく知られるが、その先見性はアメリカを始めとする世界のユーザーをつかみきれず、08年に撤退した。

アップルやアマゾンはその後を受け継ぐようにして成功を収めた。日本は結局、後手に回ったのである。

なにが違うのか。企業のマーケティング戦略よりは、一言でいえば個人がもつ世界観の違いだろう。地球を懐におさめてビジネスをするかどうか、生きているかどうかの違いであろうと思う。

一部企業は日本よりも世界市場に力点を置いているが、地球を意識している人はどれだけいるだろうか。

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