なぜ日本は後手に回るのか

これは日本だけに限ったことではない。アメリカ以外のすべての国と述べた方がいいだろう。

日本を含めた世界中の人からアメリカほど嫌悪感をもたれる国はないが、同時に潜在的羨望を抱かれる国もない。IT業界だけでなく医療から音楽にいたるまで、じつに多くの分野でアメリカは主導的立場を維持している。これは紛れもない事実である。

日本でも近年、30歳前後の起業家がITを使った新ビジネスや生き方を提唱してメディアから注目されているが、アメリカを越えていない。申し訳ないが「その程度ですか」といったところだ。

なにしろ彼らはヨーロッパや中南米の国々に影響をおよぼしていない。もちろんアメリカの特定市場を席巻するような新進企業にも個人にも成長していない。

これは書くことを生業とする私も同様なので、他人を責めてばかりはいられない。英語で書かれた本が何万部も売れているわけではない。以前、英語でエッセイや評論を書いていたこともあるが、英語市場では敗者といっていい。

言うまでもないが、タブレットもアメリカに先を越されている。2003年にソニーや松下電器(現パナソニック)がタブレット市場に本格参入していたことはよく知られるが、その先見性はアメリカを始めとする世界のユーザーをつかみきれず、08年に撤退した。

アップルやアマゾンはその後を受け継ぐようにして成功を収めた。日本は結局、後手に回ったのである。

なにが違うのか。企業のマーケティング戦略よりは、一言でいえば個人がもつ世界観の違いだろう。地球を懐におさめてビジネスをするかどうか、生きているかどうかの違いであろうと思う。

一部企業は日本よりも世界市場に力点を置いているが、地球を意識している人はどれだけいるだろうか。

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