アルジェリアのテロ事件: なぜ情報が錯綜するのか

アルジェリアの人質事件が発生してから5日がたった。

いまだにさまざまな情報が飛んできて、正確な状況が伝わらない。救出された人数も死亡者数もまちまちである。

これはアルジェリアという国の特異性とサハラ砂漠の真ん中という地理的特性によるところが大きい。

友人のフランス人記者とゆっくり話をした。まず、アルジェリアはメディアが十分に機能を果たしていないという。

政府がテレビ・ラジオの放送メディアをコントロールしているばかりか、新聞・雑誌の活字メディアにも強い影響力をおよぼしているためだ。

メディアは政治家や役人の言いたいことを垂れ流すだけなのだ。政府のチェック機能を果たすべきメディアが政府の内側に入っていては、正確な情報はでてこない。NHKしかないようなものである。

政府は自分たちに都合のいい内容だけを公表し、テロリストは自分たちの言い分だけを伝える。

西側メディアは何をしているのか。天然ガスのプラントしかない砂漠の中に特派員や通信員がいるわけもなく、特派されたジャーナリストもプラント内に入れず、一次情報は入手できていない。

正確な情報を迅速に伝えるという基本的な仕事ができないと今回のような情報の錯綜につながる。

フランス人記者が最後に言った。

「アルジェリア政府は人質の命を軽視している。いや、ぜんぜん気にしていないと言った方がいいかもしれない」

メディア操作だけでなく、基本的人権も守らない国家との姿が浮かんでくる。