死の商人

これまで日本がずっと自らの行動を律して踏み込んでこなかったのが「武器輸出」である。だが高市早苗首相は21日、殺傷能力のある武器の輸出を全面的に解禁することにした。正確には「防衛装備移転三原則の運用指針の改定」というが、これは紛れもなく日本が死の商人になるということである。

実は日本政府は2023年12月に地対空ミサイル「パトリオット」を米軍の在庫を補充するかたちで輸出することに決め、殺傷兵器の禁輸を解いてはいた。だが今回はこれまでの輸出目的として「救難、輸送、警戒、監視、掃海」(5類型)に限るとしていた取り決めを撤廃して、“普通”の武器を売れるようにした。

第二次世界大戦で敗けて以来、日本は自らにブレーキをかけて殺傷兵器の輸出をしてこなかった。これは大変好ましいことで、個人的にはずっとこの方針を貫いてもらいたいと思っていたので大変残念である。武器というのは言うまでもなく人を殺傷するためのものであって、自衛とか防衛という言葉を使うことで意味が曖昧にされてしまう。

今回の武器輸出の解禁によって規制や取り決めが少しずつ緩み、今は武器の輸出先が防衛装備移転協定の締結国(17カ国)に限られるが、今後は拡大されていくのだろうと思う。武器の売却というのは不況時に誰もが考えつくビジネスモデルの一つで、他国に武器を売り、低迷した経済を少しでも上向かせて雇用を創出できる。それが兵器ビジネスというものであり、今後は日本も「死の商人」の道を突き進むということになるかもしれない。