メディアができること

インターネットの「日常化」によって、一般的な情報だけでなく世界中のニュースがとめどなく入ってくる。

テレビや新聞のニュースには時間と紙面に大きな制約があるので、印象としては世界のニュースの30分の1くらいしか大手メディアでは報道されていない。

たとえば昨日だけでも、イラクではアルカイダの新たな攻撃で106人が死亡し、シリアの内戦では77人が犠牲になった。そしてメキシコでは麻薬マフィアの抗争によって49人が殺害されている。

3国では人が殺害されることがあまりにも日常的になってしまったので、計200名以上が亡くなっても日米では大きく取り上げられもしない。それよりもアメリカのコロラド州銃乱射事件で12人が亡くなったニュースの方が扱いが大きい。

しかし、イラクやシリア、メキシコでの被害者の背後には家族や友人・知人がおり、人が他界するという憂事において、その悲嘆のレベルは日本と同じである。ニュースが伝えるのは悲劇という事実だけだ。

報道機関の中には、そこから何かできるとの意識を抱えるところもある。しかしそれはほとんどの場合、幻想に過ぎない。

メディアは世の中を変えはしない。今起きていることを報道することで、次へのステップを呼び起こすお囃子の役割を担っているに過ぎない。

世の中を変えるのはただ実践あるのみである。

大震災がカンバン方式を襲う

東日本大震災から半月が経った。傷痕は癒えるどころかますます傷口が広がり、深くなってさえいる。

原発事故による放射線漏れが最も深刻な問題だが、長期的に世界経済に与える影響は計り知れない。過剰なまでの拒否反応から、アメリカでは原発そのものに対する違う津波が押し寄せていることを前号で記した。

壊滅的な打撃を受けた東北地方を復興するため、建設業を中心にした産業需要が増し、資本が多角的に投下されて日本経済が押し上げられるのは当分先のことだ。その前に、大震災は日本のGDPを2.5%以上は押し下げるだろう。

日本だけではない。すでに大震災の「マイナス波」は地球の裏側に及んでいる。日本企業が蓄積してきた独自のビジネス戦術に今、大きな疑念が持たれている。その一つが、トヨタが体系化して世界中の企業に取り入れられたカンバン方式である、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。

                 

    

21世紀版:死の商人(2)―新しいビジネスモデル

オバマ大統領の武器バザールが開店―。

首都ワシントンの辛口批評家の間から、オバマ大統領の武器ビジネスを揶揄する言葉が漏れ伝わってくる。

前回(3 月1日)、アメリカはサウジアラビアに対して600億ドル(約5兆円)の武器売却を決めたことを記した。今後15年間に及ぶ取引だが、特定国に対する武器売却としては史上最高額だ。

サウジアラビアは地政学的に中東の要所であり、多くの国にとって最も重要な産油国であるが、武器を売るという点で、オバマ氏はまるで死の商人になったかのようにさえ見える。ただ武器を売る相手はもちろんサウジだけではない。

昨年11月、オバマ大統領はインドに出向き、大型輸送機C-17グローブマスターを10機、売却する最終章に立ち会った。総額41億ドル(約3400億円)の取引である。サウジとの600億ドルと比較すると桁が一つ違うが、対インドへの武器売却としては過去最大である。サウジだけでなく、こちらでも確実に増額の流れが見られる、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。

ビンラディン・ハンティング

外遊中の国務長官ヒラリー・クリントンがパキスタンに立ち寄った時、こう発言している。

「パキスタン国内の誰かはオサマ・ビンラディンがどこに潜伏しているか知っているはず。告白すべき」

「9.11」からすでに9年の歳月がたとうとしている。首謀者であるビンラディンがパキスタンかアフガニスタンに潜伏しているだろうことは、ヒラリーでなくとも誰もが考える仮説である。

ただ、ヒラリーはアメリカの閣僚としてパキスタンを公式訪問し、「ビンラディンがいるだろう。出せ」と言っているに等しく、これは一般の人がブログで潜伏推測先を述べるのとはわけが違う。

by the White House

それに対し、パキスタンの首相であるユースフ・ラザー・ギーラーニーは「パキスタン国内にはいません」ときっぱりと反発した。このやり取りは双方が面と向かっている時に交わされたわけではないが、ヒラリーは10年近くも抱える懇望を述べた。

それはほとんど不可能はないと思われたCIAを中心とするアメリカ政府機関の捜査能力の限界を示すものでもある。地球上から1人の人間を探しだすことは特定の条件下ではたやすいが、パキスタンやアフガニスタンという国家においてはIT技術を駆使してもできないことが証明されている。

目撃者や情報提供者がいない限り、ピンポイントな場所を特定できない。まして、両国の山間部に住む人間がアメリカ側に情報を渡すことはないだろう。それだけに今後も捜索は困難を極める。

先月、ギャリー・フォークナーというアメリカ人がパキスタンからアフガニスタンへ越境しようとして地元の官憲に検挙され、10日間拘置された。すでにアメリカに送還されたが、フォークナーは短銃と刀、暗視ゴーグルを携行し、ビンラディンを殺害するためにパキスタン山間部を捜索していたという。

51歳の男はこれまでプロの捜索活動経験はなく、一般人としてビンラディンの拘束・殺害を企てていた。その背景にはビンラディン拘束の有力情報提供者に対し2500万ドルの懸賞金が支払われる事実も大きい。

フォークナーだけでなく、賞金めあてのビンラディン・ハンターが何人もパキスタンやアフガニスタンの山間部に進入しているはずだ。

ただ山間部に住む人間がカネで動かないことも証明されている。(敬称略)

米兵の自殺

暗い話題で申し訳ないが、今回は米兵の自殺についてである。

米軍の新聞『スターズ・アンド・ストライプス(星条旗)』を読んでいると、日曜版(18日)一面トップに、今年6月の米兵による自殺者数が過去最高を記録したとあった。

1か月だけで32人である。2007年の1年間の米兵自殺者が99人という数字を記憶している。その時点では史上最高と言われていた。しかし、今年6月だけで32人という数字はさすがに多い。

いったいどうしたのか。

アメリカはいまだにイラクとアフガニスタンの二国で戦争を続けている。日本で生活している限り、兵士が死と隣り合わせの状況で銃を手にしていることを想像するのは難しい。

                        

                  by the Pentagon

                                  

両国に派兵された米兵の約20%は躁鬱病を病んでいるという報告がある。それだけではない。軍隊内での人間関係や規律、さらに個人的な経済状況が加味されて数字が上向いているという。

ペンタゴンは「自殺防止タスクフォース」を設立して兵士が命を絶つことを阻止しようとしているが、兵士1人ひとりの心の内面にまで踏み込んで問題を解決するまでには至っていない。

99人という数字を、国際比較でよく使用する10万人あたりの自殺率に置き換えると17.3人になる。一般アメリカ人の平均が11人なので高い数字である。

ちなみに日本は07年の数字で24.4人。トップはベラルーシの35.1人。下位ではフィリピンの2.1人、ジャマイカの0.1人など、地理的にトロピカルな地域の方が自殺率が低い傾向がある。

ついこの間まで自宅のリビングでコンピューターゲームに興じていた20歳の若者が、経済的な理由から兵役に志願し、訓練を受けた後にアフガニスタンに派兵されてタリバンと戦闘をする。そこでの戦いはリセットが効かない死をかけた闘争である。

オバマ政権は2011年7月からアフガニスタンの撤退を開始するとしているが、流動的である。