2020年米大統領選(10):もう一人の候補

このブログではここまで、2020年米大統領選の主要候補(民主党)を9人ご紹介してきた。9人というのは、私がこれまでの経験から来年の本選挙まで残ると思われる候補たちである。だから独自判断による人選だ。

4月7日の当ブログで書いたとおり、正式に出馬を申請した候補はもっと多く、4月8日現在、670人にのぼる。そのほとんどは「青春の1ページ」的に申請した人であり、ご本人も勝てるとは思っていないだろう。

今後出馬してくる候補で注目されているのは前副大統領ジョー・バイデンくらいである。ただすでに出馬宣言をした中で私が見落としていて、主要候補に入れるべき人がいる。1月23日に出馬公表したピート・ブダジェッジ(37:日本語版のウィキペディアではピート・バティジーグと表記されている)。

Pete Buttigiegというスペルなので、ウィキペディアを書かれた方が無理やり読んでバティジーグと書いたのだろうが、アメリカではブダジェッジと発音されている。

buttigieg4.11.19

Photo from Facebook

インディアナ州サウスベンド市の市長で、若干37歳。なぜ主要候補の中に入れたかといえば、すでに何度も行われている世論調査で5位前後に入ってきているからだ。

まだ日本ではほとんど知名度がないし、今後彼がバイデンやサンダーズを抜き去って民主党候補のトップに躍り出る可能性は低いが、主要候補の中にいれておくべきであると考えた。

彼はゲイであることを初めて公言した大統領候補であり、主要候補の中では唯一軍隊経験があり(2014年にアフガニスタンに派兵)、かつハーバード大学とオックスフォード大学で学位を取得した知性派ということで、特定層で支持が強い。

語り口も理知的で爽やかで、多くの点でトランプとは真逆の人物といえるかもしれない。(敬称略)

出馬した日時順:

フリアン・カストロ(44:前テキサス州サンアントニオ市長)1月12日表明

カースティン・ジリブランド(52:ニューヨーク州上院議員)1月15日表明

カマラ・ハリス(54:カリフォルニア州上院議員)1月21日表明

ピート・ブダジェッジ(37:インディアナ州サウスベンド市長)1月23日表明

・コーリー・ブッカー(49:ニュージャージー州上院議員)2月1日表明

エリザベス・ウォーレン(69:マサチューセッツ州上院議員)2月9日表明

エイミー・クロブチャー(58:ミネソタ州上院議員)2月10日表明

バーニー・サンダーズ(77:バーモント州上院議員)2月19日表明

ジェイ・インズリー(68:ワシントン州知事)3月2日表明

ベト・オルーク(46:前テキサス州下院議員)3月14日表明

2020年米大統領選(9):早すぎる予想

今日は大統領選の「早すぎる予想」をしてみたいと思う。

すでに多くの方から「来年は誰が勝つと思いますか」と訊かれている。現職ドナルド・トランプが再選を果たすのか、それとも民主党候補がトランプを負かすのか、はたまたスタバ創業者ハワード・シュルツが独立候補として参戦して当選するのか。

組織に所属する記者や政治学者は予想が外れたときに責任をとらなくてはいけなくなるので、軽はずみに誰が勝つかを口にしないが、フリーランスのジャーナリストとしてはドンドン予想を述べていきたいと思う。ただ来年の秋までは、「現時点では」という条件つきである。

現時点の予想はズバリ、トランプである。「トランプ強し」と言わざるをえない。

大統領選の取材をはじめて今回の選挙で8回目になる。経験がいかされることもあるが、毎回新しい要素や事象が加味されるので、あらゆる角度から総合的に判断をしていかなくてはいけないと思っている。その上でのトランプである。もちろん個人的な感情は除外している。

まず、トランプは選挙資金の集まり方が現時点で民主党候補を圧倒している。トランプが再選の申請を連邦選挙管理委員会にだしたのは2017年1月20日。就任式の当日である。そこからカネ集めをスタートさせて、すでに150億円以上の資金を集めている。過去2カ月間に出馬表明した民主党候補とでは差がありすぎる。

米経済も現時点では好況で、現職には有利だ。低い失業率とインフレ率、GDP成長率も悪くなく、企業業績も伸びている状況で現職が負ける要素は少ない。

トランプの支持率は42%ほどで決して高くないが、トランプが暴言を吐こうが独善的な政策を打ち出そうが、国民の約4割はトンラプ支持で揺るがない。

さらに言えるのは民主党候補の顔ぶれが情けないということだ。ベト・オルークカマラ・ハリス、コーリー・ブッカーという勢いのある若手候補もでているがが、トランプを打ち倒せるようには思えない。現時点では役不足である。

支持率ではまだ出馬していない前副大統領ジョー・バイデンが民主党候補の中ではトップに来ているが、新鮮味がない。「ベイクドケーキ(焼き上げられたケーキ)」と揶揄されるように、味も形も知れ渡ったケーキ(政治家)である。

「無難なおじいちゃん」がトランプを上回る強烈な個性や政策を打ち出せるのか。

個人的には、オルークが今後1年8ヵ月でどれだけ化けられるかにかかっているように思える。怪物に育ってほしいというのかが民主党サイドの希望でもあるはずだ。(敬称略)

beto3.20.19

パンクロッカー時代のオルーク(Photo from Twitter)

2020年米大統領選(8)

民主党の期待の星が大統領選に加わることになった。

テキサス州の前下院議員ベト・オルーク(46)だ。2013年から同州16区の下院議員を務めていたが、昨年11月の中間選挙で上院議員選挙に出馬。共和党の現職テッド・クルーズに僅差で敗れたあとは大統領選への出馬に合わせて準備を整えていた。

元パンクロッカーであるオルークはさまざまな仕事を転々としたあと政治家へと転身し、リベラル派の民主党候補として期待されている。身長193センチの上背はトランプよりも大きく、個人的にはここまでの候補の中ではトップだ。

世論調査の支持率も今後、候補の中ではサンダーズを抜いてトップに躍り出るかもしれない。

O'rourke3.15.19

Photo from Vanity Fair(April 2019)

ここまで出馬した9人の主要候補(上から日付順に)。

フリアン・カストロ(44:前テキサス州サンアントニオ市長)1月12日表明

カースティン・ジリブランド(52:ニューヨーク州上院議員)1月15日表明

カマラ・ハリス(54:カリフォルニア州上院議員)1月21日表明

コーリー・ブッカー(49:ニュージャージー州上院議員)2月1日表明

エリザベス・ウォーレン(69:マサチューセッツ州上院議員)2月9日表明

エイミー・クロブチャー(58:ミネソタ州上院議員)2月10日表明

バーニー・サンダーズ(77:バーモント州上院議員)2月19日表明

ジェイ・インズリー(68:ワシントン州知事)3月2日表明

ベト・オルーク(46:前テキサス州下院議員)3月14日表明

2020年米大統領選(7)

現職の州知事が2020年大統領選に参戦してきた。ワシントン州知事のジェイ・インズリー(68)だ。主要候補としては8人目である。

inslee3.2.19

Photo from Twitter

泡沫候補もいれるとすでに10数人で、これからオバマ政権の副大統領だったジョー・バイデン(76)やニューヨーク市前市長マイケル・ブルームバーグ(77)が出馬してくると思われる。

インズリーは長い間、連邦下院議員を務めたあと、13年から同州知事に就いている。知事としては気候変動、教育、麻薬対策に力をいれてきた。出馬メッセージでは「わが国の次のミッションとして最も緊急性の高いこと、それが気候変動問題」と、最優先に取り組むべき問題に気候変動をあげた。(敬称略)

2020年米統領選(6)

バーニー・サンダーズが戻ってきた。

bernie2.20.19

Photo from Youtube

77歳であっても「諦める」という言葉を知らないかのように、2度目の大統領選に出馬してきた。これで民主党からの主要候補は7人目となる。地元バーモント州のラジオ局のインタビューに答える形で出馬を表明。いかにもサンダーズらしい場所で選挙戦に打って出てきた。

さらにトランプを非難する言葉使いもサンダーズらしい過激さで、一般紙ではコメントをさしかえるほどの内容だが、ここでは記したい。少しばかり顔を紅潮させて言った。

「トランプは病的虚言者だ。人種差別主義者だし性差別主義者でもある。そして同性愛者嫌いで、外国人嫌いだ」

80年代、90年代にこれだけ過激な言葉を口にすると敬遠されたものだが、過去10年ほどは米社会のリベラル派が急進的な動きをみせているので受け入れられている。

ギャラップ社はそんなサンダーズが候補のトップグループに入っていると指摘。今後の動きに注目したい。(敬称略)

これまで出馬表明した主要候補を上から日付順に列挙。

フリアン・カストロ(44:前テキサス州サンアントニオ市長)1月12日表明

カースティン・ジリブランド(52:ニューヨーク州上院議員)1月15日表明

カマラ・ハリス(54:カリフォルニア州上院議員)1月21日表明

コーリー・ブッカー(49:ニュージャージー州上院議員)2月1日表明

エリザベス・ウォーレン(69:マサチューセッツ州上院議員)2月9日表明

エイミー・クロブチャー(58:ミネソタ州上院議員)2月10日表明

バーニー・サンダーズ(77:バーモント州上院議員)2月19日表明