迫ってきました:2020年大統領選(49)

投開票日が迫ってきた。これまで当欄でも記してきたとおり、私はバイデン氏が有利であると述べてきたし、いまも変わっていない。

最近、メディア番組に出演すると、4年前の「丸刈り」を蒸し返される。「ヒラリーさんが負けたら丸刈りにします」と宣言したので、その通りにしただけなのだが、いまでも多くの方にとっては突っ込みどころのようで、よくからかわれる。まあ、軽く受け流すことにしている。

異国の選挙がこれだけ騒ぎになるというのは、ある意味、羨ましくもあるし、アメリカ大統領の影響力の大きさを象徴してもいる。今日、バタバタといくつかの仕事をしている合間に、外国特派員協会の仕事仲間と大統領選で議論を交わした。

1人はトランプ氏が勝つ と述べ、もう1人はバイデン氏が勝つと言う。私もバイデンに一票という流れで、さまざまな角度からいかにも記者らしい話がでた。トランプ氏を推す記者はこう発言した。

「トランプは人間的には女たらしだし、脱税をしていた疑いも強いし、言動も好きになれないが、バイデンよりは少なくとも正直だ。自分のやりたいことがはっきりしていて、敵を作りもするが味方には優しい。民主党のエリート気取りの政治家よりずっといい。それに経済活動の重要性をよく認識している。バイデンとの比較だったら私はトランプを推す」

私はこう反論した。

「一国のトップを選ぶ選挙だ。しかもアメリカである。先進国家を代表するアメリカの代表に、マフィアの親分のような口汚い人間が就いていること自体あってはいけない。トランプはビジネスマンであって政治家ではない。カネよりも国家が、そして国民が必要としていることを遂行するのが真の政治家。また自分と立場の違う国民のことも考慮するのが気骨ある政治家だが、トランプには人間に大切な『配慮』というものが欠けている」

もう一人は私の意見に賛成で、3人とも自分たちの意見を譲ることがなかったので、最後は「賭ける?」ということになった。このあたりが外国人記者らしい流れかもしれないが、もちろん私は「坊主にする」とは言わなかった。選挙が終わったら、ゴハンを「ゴチ」し合うことになっている。

バイデンを支える原動力:2020年大統領選(48)

トランプ氏とバイデン氏の戦いがこれだけ大きな話題になっている選挙であっても、なぜ有権者の65%ほどしか一票を入れないのだろうか。

投票しない人たちは政治に興味を抱かない(抱けない)か、積極的に投票行動を否定しているか、自分の一票では何も変わらないと考えているかなどさまざまだが、それでも3割以上の成人は投票しない。

アメリカのあるサイトに黒人男性(53)の興味深いインタビュー記事がでていた。その男性が前回、大統領選で投票したのは2008年だった。オバマ大統領が誕生した年である。同じ黒人男性として是非ともオバマ氏に当選してほしかったことから投票所に行ったという。ただオバマ再選の2012年には投票しなかった。

「別に私の一票がなくても再選すると考えていたので、わざわざ投票所には行かなかった」と述べている。中西部に住む民主党支持者であるこの男性は今年、12年ぶりに投票するという。

「バイデン氏の熱烈な支持者というわけではないのです。人種差別的な言動をするトランプ氏には耐えかねており、大統領として敬意をもてないからバイデン氏に投票するのです。もし今年バイデン氏が敗れたら、私は自分を責めると思います。『お前が投票しなかったから彼が負けたんだ』って」

この率直な思いは多くの有権者に共通する本音であるかと思う。民主党員だけでなく、有権者の4割にあたる無党派層の人たちにも通じる気持ちであろう。これが今年のバイデン氏を支える原動力になっている。

from twitter

くにまるジャパン極

焦りはじめたトランプ:2020年大統領選(47)

新型コロナウイルスに感染したトランプ氏が焦りだしている。

すでに「免疫を獲得して、他者を感染させることはない」とツイッターでつぶやいたが、いまだに陰性になったという報道はない。そんな中、本人はほぼ1週間、遊説活動ができなかったことでかなり焦りを感じているようだ。バイデン氏との支持率の差も開いてきている。

トランプ氏は12日から遊説活動を再開させ、11月3日の投票日までほぼ休みなしで全米を飛び回りたいと選対本部に告げているようだが、スティーピエン選対本部長もコロナに感染しており、同氏がどれほど動けるかは判断できない。同本部長はツイッターでのつぶやきが少ないので、あと3週間、トランプ氏をどう動かすのか。

ただトランプ氏本人は本気で毎日動き回るつもりでいるとの情報が入っている。周囲は「自殺行為だな」と言っているという。コロナ感染後、大統領は米時間12日にフロリダ州オーランド市郊外で遊説をスタートさせ、翌13日にはペンシルベニア州、14日にはアイオワ州に飛ぶ予定だ。

大統領の周囲にさらなる感染者が増えないことを祈るだけである。

トランプ退院の理由:2020年大統領選(46)

日本時間で6日午前、トランプ大統領が入院先のウォルターリード米軍医療センターからホワイトハウスに戻った。コロナ陽性というニュースからまだ3日しかたっていない。陽性から陰性に変わったという報道はないので、いまだに陽性のままであれば、周囲の人間に感染させる可能性があるはずである。

臨床治験の段階の薬剤を含めて複数の薬を投与されているようだが、このままホワイトハウスで執務にもどり、さらに感染を拡大させないとも限らない。もうしばらくは医療センターにいるべきだっただろう。

なぜこれほど早急にホワイトハウスに戻ったのか。その理由はホワイトハウスに戻る前に、連続で15回もツイートした内容から判断できる。少し記すと、「過去最大の減税を実施。さらなる減税もやりますので、投票してください!」、「強い軍隊を望むなら、投票してください!」、「宗教の自由に賛成なら、投票してください!」「高い株価を望むなら、投票してください!」といった具合で、すべて選挙がらみの内容だった。

つまり、投票日まで1カ月を切った大統領選が気になってしかたがなかったのだ。一刻も早く選挙活動を復活させて、ただでさえ劣勢にあるいまの情勢を逆転させることが今のトランプ氏にとっての最大関心事であると思われる。もし再選が決まったあとにコロナに感染したとしたら、もう少し病院でゆっくり療養していたはずである。