高齢者の5割以上が「生活苦しい」

人がいくら稼ぎ、いくら貯蓄しているかはいつの時代でも気になることである。当ブログでも何度か書いてきているが、誰がどれほ稼ぎ、どれほど蓄えているかは本質的に関与すべきことではないのだが、メディアに他者の貯蓄額がでてしまうと、どうしても自分と比較してしまう。

私はすでに68歳なので、どうしても高齢者の数字に目がいってしまう。先日、LIMO(くらしとお金の経済メィデア)が発表した65歳以上の家計収支を眺めていると、統計に参加した人の実に55.8%が経済的に「大変苦しい」か「やや苦しい」のカテゴリーに入っており、予想以上に生活が大変であることがわかった。自分の経済状況を「ふつう」と捉えている人は40.1%で、「ややゆとりがある」は3.6%、「大変ゆとりがある」は0.6%に過ぎなかった。

この数字がすべてを表しているとは思わないが、ゆとりがある人の割合がかなり少ないのはいったいどうしたことか。

ただほとんどの高齢世帯で、毎月の平均支出額が年金等で入ってくる金額よりも多いことが多く、毎月2万円台の赤字がでていた。さらに、70歳代の夫婦が保有する貯蓄額の平均値は1923万円だが、中央値は800円で、億万長者が平均値を釣りあげていることがわかる。

毎月2万5000円の赤字が発生している場合、貯蓄額が800万円あったとしても単純計算で26年で使い果たしてしまう。物価の高騰が続けば、それよりも早い時期に貯蓄が底をついてしまう可能性があり、ウカウカしていられないというのが実感である。

「人生、お金がすべてではない」とよく言われるが、やはり「先立つもの」は必要なのである。