トランプ大統領(以下トランプ)が提案したパレスチナ自治区ガザの和平案は、頓挫する可能性もあるが、本当に「中東に和平をもたらす」かもしれず、内外からの注目度は高い。ノーベル平和賞は獲れなかったが、BBCなどは「当計画は文明史上、最も偉大な日となる可能性があり、中東に永遠の平和をもたらすかもしれない」とまで評価している。
本当に中東に平和が訪れるかどうかは今後数週間で見えてくるはずだ。それはイスラエルのネタニヤフ首相(以下 ネタニヤフ)とイスラム組織ハマスの指導部が、戦争を継続するよりも終結して和平を求めた方が得策だと判断するかどうかにかかっている。現時点で、ハマス側がイスラエルの提案に乗ってくるかどうかは明確になっていない。
というのも、ハマスはイスラエルがガザを撤退するとの保証が得られないかぎり、どういった計画も受け入れないかもしれないからだ。ネタニヤフはトランプが発表した20項目の提案を受け入れると述べたが、イスラエル政府内にはすでに反対する者もでており、すべてが順風満帆に進むわけではない。
しかもネタニヤフという人はこれまでも、自分の政治生命が危うくなった時は、成立しつつある合意を反故にしてきた経緯があり、今回の和平案が外交上の重要な一歩であっても成功が約束されたわけではないことを知るべきである。
トランプが提案した20項目の中で私が大変重要だと思うのは、「イスラエルはガザを占領も併合もしない」という項目である。これはアラブ諸国にとっては極めて重要なことで、これが実際に実現されれば、和平も夢ではないかもしれないが、イスラエルが本気でトランプの提案を受け入れるかどうかは依然として不透明なままだ。
ただ希望としては、そろそろ中東での「共存共栄」が達成されるべきだろうと思っている。