年が明けてから悲劇と呼べる出来事が相次いでいる。日本では大きな報道になっていないが、イエメンの反政府武装組織フーシによる商船への攻撃に対し、米英軍が報復攻撃を行っているのもその一つだ。すでに戦争と呼べるレベルで、すぐに収束するとは思えない。
「戦場」になっているのは紅海で、ここはスエズ運河を通してヨーロッパとアジアを結ぶ重要な航路であり、日本を含めた諸外国の商船はここを通過してきた。しかし戦場になってしまったいま、世界50カ国以上の商船はスエズ運河からアフリカの喜望峰を回る迂回路を使わざるをえず、コストだけでなく数週間の遅れが生じることになっている。
フーシはイスラエルを敵であると宣言している。昨年10月には、イスラエルにミサイル攻撃を行っており、「パレスチナで抑圧されている同胞を救うため」と発表した。基本的にイスラエルが攻撃をやめるまで軍事作戦を続ける意向で、ガザでの戦闘が継続される限り、フーシによる商船への攻撃は収まらないだろう。
「紅海の戦場化」により、すでに2000隻以上の商船が紅海をさけるために迂回を余儀されることになっている。今後は沈静化どころかフーシと米英軍による戦闘の激化の可能性もあり、今年はある意味で「戦争の年」になるかもしれない。