古代メキシコ展

東京上野にある東京国立博物館で開催中の「古代メキシコ展」を観てきた。現地からいくつもの遺物が運ばれ、ゆったりとした空間の中にさまざまな展示物が配置されていた。

ご存じの方もいるかと思うが、私は大学時代、マヤ文明に魅せられて考古学者になることを夢みた時期があった。だから、古代メキシコ展ときくと、さまざまなことが脳裏を駆け巡り、落ち着きをなくす。

展示では特にヤマ文明とアステカ文明に焦点があてられていたが、私はマヤの前のオルメカ文明というものに興味を抱いていた。紀元前1500年頃からユカタン半島のつけ根の部分に古代文明を築き、人間とジャガーを融合させた神を崇め、多くの石像をつくった。

もともと中米に人はいなかったという説が有力で、オルメカ文明を築いた古代人はアジアからベーリング海峡を渡ってアメリカ大陸に入ったということになっている。のちにマヤ文明を開花させ、そしてアステカ文明へと移っていくが、文明の築き方は世界で多くの共通点がある。文字をつくり、ピラミッドをはじめとする石を使った建造物を建てる。そこには統治機構があり、社会を長期間維持するだけの権力者がいた。

少し首を突っ込むと、また考古学をやりたくなったりするが、学生時代にジャーナリズムの方が魅力的に感じて進む方向を変えたので、また方向転換することはないが、考古学にはいまでもジリジリするものがある。