トランプ:3度目の起訴でも痛打にならず

来年11月の米大統領選に出馬しているトランプ前大統領が3日、再び起訴された。これで3度目である。今回は2020年の選挙結果を覆そうとした不正行為を含めた4つの罪状で起訴され、連邦地裁に出頭したが、本人はまるで他人事のような表情だった。起訴されたことについて痛打になっていないのだ。

というのも、1回目、2回目の起訴のあと、同氏のもとには通常よりも多額の献金額が舞い込んでおり、今回も億円単位のカネが期待できるからである。当ブログで何度も記しているが、大統領選ではこれまで「より多くの選挙資金を集めた候補が勝つ」というジンクスがあり、トランプ氏はそのことを痛いほど知っているから、今回も「私の当選を確実にするにはあと1回起訴されること」と述べているほどなのだ。

トランプ氏を支持する共和党の有権者はこうした起訴を民主党サイドによる陰謀と受けとる傾向があり、有権者は反発するように、より多くの資金をトランプ氏に献金する流れがある。

トランプ氏の広報官であるスティーブン・チャン氏は今春、こう述べていた。

「トランプ氏の起訴は政治的迫害以外のなにものでもない。米国の司法制度を武器化してトランプ氏を標的にし、選挙妨害をしようとしているのだ」

共和党内でのトランプ氏の支持率はいま、党内のどの候補よりも高く、裁判になって有罪が確定し、実質的に選挙活動ができなくならない限り、トランプ氏はこのまま突き進むだろうと思う。

ある意味で「異常な事態」が米政界で起きていると言っても過言ではない。これが今の米政治の姿である。