学園ものドラマ

過去数カ月、「学園ものドラマ」がメディアを騒がせている。

森友と加計のゴタゴタは国家存亡の危機などではなく、単なる政治家の口利きが責任問題につながった事件であって、私に言わせれば本当に「学園ものドラマ」のレベルでしかない。

北朝鮮のミサイル問題や一般市民が体現できる日本経済の実質成長といった問題の方が何倍も重要である。国家にとっての重要案件の優先順位が間違っている。

学園ものドラマのポイントは安倍の口利きがあったか、なかったかである。政治家が知人・友人の口利きをすることは誰もが知る行為であって、地方議員から国会議員にいたるまで、それなくして日本の政治家の存在意義を語れないほど普通の行為のはずだ。

だから今さら安倍が獣医学部を新設することに「口利きをしたしない」で日本中が大騒ぎをすることではない。メディアは騒ぎすぎである。

ここでの問題はむしろ、10日に行われた文科省の前事務次官、前川喜平の国会証言と政府側の意見の食い違いだろう。どちらかがウソをついている。または両者がウソをついている。

責任のなすり合いである。ただ昨日の言説を聴くかぎり、前川の話の方に信憑性がありそうだ。安倍が「初めから加計学園に決まるようプロセスを進めてきたようにみえる」という見方がもっとも妥当だろう。

ただ前川もまったくのシロではない。審議官時代に天下りの斡旋をした人物であり、調査をあざむくために口裏合わせや想定問答集まで用意していたしたたかさがある。だから、文科省を辞めたいまだから100%本当のことを言っているとは限らない。

本当にドラマを観ているようで、驚かされるのだ。(敬称略)