生番組のスピード

先週の木曜(13日)のテレビ出演で、生番組ならではの即応性を目の当たりにした。

水曜夜、ディレクターと電話で打ち合わせをして番組内容を話し合う。私の担当するコーナーが始まるのは木曜午前10時50分過ぎからという話も聞いた。

いつも通りの時間に起きて朝食を食べ、テレビ局からの迎えの車に乗り込んだのが9時20分。首都高速を通って六本木のテレビ朝日に着いたのがちょうど10時。Tディレクターは玄関で待っていてくれた。

すぐに楽屋に入って最新の台本をみながら、その日の進行を確認する。私がどういう話をするかは、前日の電話での打ち合わせで述べてあったが、新たな情報も入れていく。

「そうだ。G20の席で、実はトランプだけ胸に刺すG20用のピンをつけていなかったんです。一人だけ星条旗のピンをつけていた。他の首脳が全員、同じピンをつけているにもかかわらずです。これはアメリカだけは違うという意識の表れ」

そう言うと、Tディレクターは「面白いですね。すぐに映像を探してみます」と即答した。その話をしたのが10時半。私の出番まであと20分という時間だった。

映像は無理にしても、首脳たちが並んだ集合写真は用意してくるだろうと思っていた。本番直前、「ピンの話を是非してください」と言われた。

コーナーの後半になって、私はピンの話を切り出した。するとテレビ映像はすぐにG20の首脳たちが歩く場面に切り替わった。しかもピンがよく見える映像である。

トランプもいる。一人だけ星条旗のピンをつけている。私は話をしながら映像に眼をやり、Tディレクターの素早い対応に参っていた。

コーナーが終わってからすぐに、「映像を探してくるとは思わなかったです。画像だけかと思っていた。素早いですね」と言うと、「これが生番組のよさですから」と彼は何事もなかったのような素振りだった。

私は相変わらず活字メディアでも月に20数本の原稿を書いているが、この件についてはテレビで示すことがベストだった。しかもテレビ的な話題である。

同番組は月曜から金曜まで同じ時間に放映しているいわゆる帯番組で、ディレクターだけでも総勢40〜50人もいる。これまで半数くらいのディレクターと一緒に仕事をしてきたが、このTディレクターがもっとも一緒に仕事をしてきた回数が多く、信頼関係も厚い。

あらためてその即応力を見せつけられて嬉しくなった。

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Photo courtesy of Fellow Ship of Minds