北朝鮮への新たな一手

どうして同じことを繰り返すのだろう。

北朝鮮の核実験とミサイル発射もさることながら、日米韓を始めとする「こちら側」の対応がいつも同じであることに苛立ちを覚える。国連安全保障理事会の対応も同じである。

2006年10月に北朝鮮が1回目の核実験を行ってから、今回で5回目になるが、「強く抗議する」とか「さらなる制裁」を繰り返すだけだ。10年たっても北朝鮮の核実験を止めることはできない。

対応がすでに恒常化してしまっている。日本もアメリカも、安保理の制裁も機能していない。北朝鮮にミサイル発射や核実験をやめさせるためには、次の「新たな一手」が必要なはずだが、そこには踏み込まない。

5回目の核実験後でも、①日米韓の連携を強化し、②中国に北朝鮮への圧力を促しながら、③迎撃ミサイルを含む防衛体制を整備し、④経済制裁をかけることに終始する。

安保理も日米韓も北朝鮮の軍事挑発を止めることに、真剣に対処していないとしか思えない。というより、表面的に制裁や抗議をしながら、実際には北朝鮮に手出しをしないという取り決めができているように思えるくらいだ。

「新たな一手」というのは軍事行動である。北朝鮮の核兵器や弾道ミサイル基地に先制攻撃をしかけるシナリオは、ペンタゴンがすでにシミュレーションとして描いている。韓国軍も加わるだろう。

だが先制攻撃をした後のシナリオを真剣に考えると、全面戦争へと発展する可能性があるため、容易に攻撃もできない。そうなると、これまでのような無益といっても過言ではない制裁や抗議を繰り返すことになるのか。いまのままでは金正恩の考えを変えることはできない。

儒教思想の国家(北朝鮮)にとって、「外のモノは邪悪で内のモノは正義」という見方は確固としたまま何十年も変わらない。5年前に平壌に足を運んだ時に学んだことである。

「新たな一手」があるなら、ぜひ見せてもらいたい。