振り込め詐欺は人生の終わり?

振り込め詐欺の被害が増えている。

最近は「私に限って騙されることはない」と思っている人でも、巧妙な手口で現金をもっていかれることがある。

昨年の被害総額は約376億円で、前年比で被害額は5割も増えた。過去にうまい汁を吸った犯罪者が手口を変えて、繰り返し詐欺をしている可能性が高い。

騙された人の中には「騙された自分が悪い」という意識を宿し、家族に責められて自殺した人たちもいる。

詐欺罪(刑法246条)は10年以下の懲役で、被害状況にもよるが、初犯であれば有罪判決が出ても執行猶予がつくことが多い。犯人たちは必ずしも塀の中に入るわけではない。

私はかねてから振り込め詐欺を犯した詐欺師たちの量刑があまいと考えている(日本人はもっと怒っていい )。

裁判所は懲罰的な量刑の判例をつくることが望ましいかと思う。現行法では無理があるだろうから、法律を改正すべきである。

いや、それこそが振り込め詐欺を減らす起点になりはしないか。見せしめという考え方は卑しいが、少なくとも十人単位の人間を騙した犯罪者には恩赦なしで100年以上の実刑をだしてもいい。

20人を騙した場合、1人について懲役5年とすれば加算して100年という期間になる。振り込め詐欺をすると、それだけで人生を棒にふるという社会通念を築くのである。

たとえば中国ではヘロインを50グラム以上密輸した時には死刑になることがある。諸外国を眺めると、特にスペインとアメリカで量刑が厳しく、数千年から1万年超という冗談のような量刑がだされたことさえある。

いずれも強姦罪が対象だが、1994年に子ども6人を強姦して有罪判決をうけたスコット・ロビンソンの量刑は3万年だった。被害者1人に対して懲役5000年である。

そこまでいかなくとも、振り込め詐欺で年配者の預金を食い物にする犯罪者には怒りの鉄拳をくらわせるべきだ。大々的に量刑の重さを社会に告知し、「振り込め詐欺は人生の終わり」という事実を定着させればいい。

司法はそれくらいのことはすべきであると真剣に考えている。