意味のない衆議院解散

血迷ったとしか思えない-。

安倍はどうやら外遊するはるか前に衆議院の解散を決めていたらしい。

消費税を8%から10%にするかどうかの「信を問う選挙」というのは、無理矢理つけた理由にすぎない。今年中に選挙をすれば、自民党は過半数を確保できるからという私利私欲による解散である。

衆議院の解散権は、憲法上内閣がもつが、首相の専権事項となっている。だから安倍のような自分勝手な理由で衆議院を解散できる。だが、いま解散すると経済や外交でのマイナス面しか思い当たらない。

1億2000万人以上の国民のトップに立つ人間の判断とは思えない。

アメリカの連邦議会には解散がないので、上院は6年、下院は2年の任期を過ごす。大統領の任期は4年。再選を果たせば次の4年もできるので計8年。それ以上は務められない。

大統領は辞任できるが、重要法案が通らなかったというだけで職を投げ出したりしない。こらえるのである。同時に、8年という任期がはっきりしているからこそ、何をどう進めるかの長期的な展望がひらける。

カナダやオーストラリアは日本と同じように、総督の権限で下院(日本の衆議院)を解散する権限をもつが、日本の首相は乱用し過ぎている。しかも我欲で解散権を行使している。ほとんどあり得ない世界である。

日本は憲法を改正して首相の解散権を剥奪すべきである。迷惑を被るのは国民であり、他国である。地方創生相の石破は「解散は総理大臣の専権事項なので、私たちがとやかく言ってはいけない」と言ったが、今回の安倍の解散については「とやかく言わなくてはいけない」。

こういう人物は国政の場にいてはいけないと真に思う。(敬称略)