坊主事件で得をした人

AKB48の峯岸みなみの坊主あたまのニュースが世界中で話題になっている。

日本の芸能ニュースがアジアだけでなく、欧米に伝わることは稀である。それだけ坊主あたまの動画が鮮烈だったということだ。欧米では、あの姿は第二次世界大戦のナチスドイツによる強制収容所の女性たちを想起させる。

アメリカでもツイッターやブログで賛否両論が見られるが、批判的意見が主流である。いくつか興味深いコメントをご紹介したい。

「AKB48はファンタジーの世界を作りあげることに成功したのだと思う。マネジメントはそのファンタジーを維持するためにメンバーの恋愛禁止を謳っているのだろうが、実際のメンバーは現実の世界で生きているので恋愛は当たり前。恋愛禁止という規則は今の世の中には合わない」

「 AKB、、、ほとんどカルト集団にしか見えない」

「アジアのポップカルチャーがアメリカと違うことがこの問題でよくわかる。恋愛がいけない?テイラー・スウィフトがこのグループのメンバーならば、毎日あたまを剃らなくてはいけないな」

「あの坊主あたまはカワイイと思う」

「メンバーが同じユニフォームを着て歌う?モンキーズ以降、欧米では思い浮かばない」

結果的に、峯岸みなみのこの騒動でAKBのパブリシティーが倍加し、グループへの注目度がさらに高まる結末になったのは皮肉であり好機である。しかも世界的にAKBの存在をしらしめることになった。

峯岸はそこまで計算していなかっただろうが、秋元康は恋愛の規則破りを最初から見越していたはずである。20歳前後の若者に恋愛を禁ずることは、「高校3年間は絶対に寄り道をしないで帰宅すること」というような、最初から守れない不条理なルールに等しい。

少女たちも、このルールがあるならAKBのオーディションを受けないとは考えない。すべては秋元の思惑どおりで、彼の掌の上に乗せられた少女たちという思いを強くした。

この点で、坊主あたま事件でも秋元は勝利を確信したはずである。(敬称略)