脳を飛ばす!

長い間、活字メディアで仕事をしている。ときどきテレビやラジオにも呼んで頂くので、できるだけ出るようにしている。

ほとんどの方はお気づきだろうが、テレビやラジオといった放送メディアは、瞬間芸とでも呼べる直感的な機転が必要になる。特にナマ放送では、それなくして伝える側にいる意味がないようにさえ思える。ボーッと座っているだけでは、出演している価値がない。

今週、WOWOWの夜の番組で話をする機会があった。ジョン・カビラが司会をする1時間のナマ番組で、私の持ち時間は約15分間。ホワイトハウスについて話をしたが、いくら自身がよく知ることであってもテレビ向けに話をする時は「分かりやすく」が大切だ。

もちろん台本があり、進行の時間が決められ、それに沿って話をする。だが本番のスタジオには一般参加者が座り、そのうしろにディレクターを始めとした番組関係者がジッーとこちらを見ている。かなりテレビには慣れてきていても、視線が散ってしまう。

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                       By WOWOW

カメラの横にある丸時計の秒針がチクチク動いているのが気になる。流れに乗って話をしていると、テレビカメラの下で跪きながらフロアディレクターが「次の写真はカット」と、リハーサルとは違う指示を出してくる。

その横では違うフロアディレクターが「このコーナーあと2分」といったカンペをかざす。その途中で、右手にあるモニターを見ながら私は「キュー」をだして、新しい写真を写し出してもらわなくてはいけない。

そうしていると、カビラがもちろん台本にはない突っ込みを入れてくる。それに答えながら次の話の内容を考えていると、フロアディレクターが「次に進んで」といった指示を飛ばす。

活字メディアには普通、考える時間がずいぶんとある。文章を紡ぎながら次の表現をどうするか、ハタと考えこんで時間がたつことも少なくない。

テレビやラジオはその対極に位置する。敢えて表現するならば 「脳を飛ばす」ことを知り、その喜びを味わえないといけない。

だが、まだ喜びに変わらない、、、、。(敬称略)