勇気の出る映画

pentagonpapers3.7.18

映画の試写会でスピルバーグの最新作を観てきた。

ペンタゴン・ペーパーズ:最高機密文書ーー。

久しぶりに勇気がモリモリ湧いてくるような映画だった。ポパイがほうれん草を食べて腕に力こぶができるのを、実感できる気さえした。

1971年6月、ニューヨーク・タイムズはペンタゴンが作成した秘密文書を暴く。数日後、今度はワシントン・ポストも同じ文書を入手して公開する。内容はアメリカの歴代政権がベトナム戦争の戦況について、国民にウソをつき続けてきたという事実だった。

第二次世界大戦時の日本の「大本営発表」と同じことがアメリカでも行われていたのだ。すでによく知られた事実だが、スピルバーグが再び世の中に映画として問いただした。

「権力(政府)はウソをつく」という事実は歴史のなかで繰り返される。それを暴くために権力に歯向かう人間がいる。いや、そうせざるを得ない状況があるのだ。

いまのトランプ政権と安倍内閣に通じるものがあるだけに、勇気を授けられた。

先日のアカデミー賞で作品賞と主演女優賞(メリル・ストリープ)にノミネートされていたが、受賞は逃している。日本での公開は3月30日から。

ロシア疑惑(2)

前回のブログ「ロシア疑惑(1)2月24日」では、ロシア疑惑の経緯とこれまで起訴された人物について簡単に記した。

元FBI長官ロバート・ムラーが特別検察官に任命されてからほぼ10カ月。まだ全容解明にはいたっていないし、検察側の切り札はまだ出していない。

昨年12月、私がトランプ政権の主席戦略官だったスティーブ・バノンにインタビューした時、彼はこういうことを口にしていた。

「コミー長官を解任したことは、アメリカの近代政治史上最大のミス」

誇張が込められていることを考慮しても、トランプとしては「やっちまった」感が強い判断だったわけだ。そばにいたバノンが一番そのことを知っている。

コミーはロシア疑惑の捜査に入っていた。トランプとしては、コミーを辞めさせれば捜査が進まないと思ったのだろうが、まったくの逆だったということである。

FBIを含む司法省の人間は反トランプで結束したからだ。人望のあったコミーを無理やり辞めさせたトランプの暴挙は許せないという論理である。

以来、「コミー解任は司法妨害にあたる」というのが、ムラーチームが狙うトランプ起訴の理由のひとつになっている。

昨日、ビル・マーというテレビ司会者がHBOの自身の番組で、オバマ政権時の司法長官エリック・ホールダーにインタビューしていた。私は90年代からマーの番組はよく観ていた。

ホルダーはムラーが司法妨害という線で捜査を進めているはずだと述べた。

「私は過去30年ほどムラーを知っています。彼はいま(司法妨害を立件するために)できる限りのことをしているはずです。もうしばらく待つべきでしょう」

しばらくしたら、「トランプ大統領が起訴されました!!」というニュースが飛び込んでくるかもしれない。

あり得る話なのである。(敬称略)

早稲田大学オープンカレッジ

今年4月から春学期だけ(予定)、早稲田大学オープンカレッジで講師を務めます。

カレッジと名前がついていますが、誰でも参加できる学校で、早稲田大学の生涯学習教育機関(エクステンション・センター)が運営しています。

私が受けもつ講座名は「ワシントンレポート〜トランプ政権を取り巻くいまのアメリカ 」。

すでに先行申込を済まされている方もいるようですが、一般受付はこれからです。ご興味のある方はどうぞいらしてください。

トランプ最大の痛手

「エッ、ウソ」

今朝、海外ニュースを観ている時に大きな声で叫んでしまった。

トランプ政権の広報部長ホープ・ヒックスが辞任するというのだ。トランプがもっとも頼りにしてきたと言っていい女性である。

トランプ自身、それを認めているし、イヴァンカ&クシュナー以外では最も信頼できる側近だった。トランプが彼女を解任することはないので、自ら辞める決断をしたのである。

ヒックスが連邦下院情報特別委員会でロシア疑惑に関する聴取を受けた翌日のことだった。委員会で話をした内容は明かされていない。

それが痛打となって辞任を決めたのか、それとも理由は他にあったのか。ロシア疑惑への関与を認めざるをえない状況だったのかは定かではないが、トランプにとって、これまでの側近辞任の中では誰よりも痛手になるはずだ。

議会での聴取前から、ヒックスは周囲に辞任の意向を漏らしていたとの報道もあるが、現時点で真意はわからない。

2016年の大統領選時、私はヒックスに何度もEメールを送ったが返答をもらえなかった。当時、彼女はメディアから1日数百本のメールを受けていたので、名も知らない日本人ジャーナリストには返事をできなかったのだろう。

広報部長ではあったが、ホワイトハウス記者室の前に立って質問をうけることはなかった。元モデルではあるが、スポットライトがあたることを嫌った人である。

ヒックスはこれまで、トランプに対して「ホワイトライ(軽い嘘・お世辞)」を口にしていたことを認めている。トランプは最大の味方を失うことになり、今後ますます孤立するかに見える。(敬称略)

hicks3.1.18

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ウォーレン・バフェットからのメッセージ

世界的な投資家ウォーレン・バフェット氏が1年に一度、株主に対して記す書簡が24日に発表された。書簡と言っても、形式的な短い手紙ではない。17ページにびっしりとバフェット氏の思いが詰まっている。

投資会社バークシャー・ハサウェイの会長であり、個人としては世界第2位(フォーブス長者番付)の資産家であるバフェット氏。

その言葉だけに株主だけでなく、世界中の投資家や金融関係者が注目する。今年はどんなことを述べたのか。ネット上で閲覧できるので、主要点を4つにまとめた(続きは・・・ウォーレン・バフェットからのメッセージ)。

buffett2.28.18

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