トランプが犯した過ち

2月28日にホワイトハウスで行われたトランプ・ゼレンスキー会談が決裂し、大きなニュースになっている。テレビカメラが入った会談だったが、トランプは大声でゼレンスキーに対し、「あなたは私に指示する立場にない」「(あなたは)カード遊びをしている。数百万人の命を賭けている」「一度でも米国に感謝の言葉を述べたことがあるか」と声を荒げた。

トランプはゼレンスキーに対して、「米国への感謝が足りない」という態度でおり、それが会談のいたるところに現れた。ゼレンスキーの方も、どこかの国のようにトランプに対してペコペコと頭を下げて従うという姿勢ではなかったことから、両首脳が熱くなるのは必然とも言えた。

ただ冷静になってウクライナを取り巻く国際関係を眺めたとき、国際法を違反して侵略戦争を仕掛けてきたのは紛れもなくロシアで、トランプはそのことを棚の上にあげて、プーチンの側に寄り添ってゼレンスキー批判を繰り広げた。バイデンとは真逆の立場である。このところロシアとの融和を推進しているトランプにしてみると、ゼレンスキーの態度は「失礼極まりない」ということになってしまう。

ただゼレンスキーのトランプへの態度も褒められたものではない。力関係は歴然としており、米国からの軍事支援が途絶えてしまえば窮地に陥るのは目に見えている。そのリスクを敢えて犯してトランプの痛いところを刺激して怒らせてしまった。政治家であれば、そのあたりはもう少し巧みにこなすべきだった。(敬称略)

トランプ・石破会談

ホワイトハウスでのトンラプ・石破会談が無事に終わり、日本政府関係はほっと胸をなでおろしたようだ。日本にとって日米関係が最も重要な二国間関係であることは中学生でもわかることで、トランプ氏を怒らせたり警戒感を抱かせないように、周囲は細心の注意を払っていたはずだ。

私はワシントンに25年ほど住み、ホワイトハウスもカバーして多くの首脳会談を取材したのでわかるのだが、実際に首脳同士が顔を合わせる時には会談の「ほぼ7割は終わっている」と考えていいかと思う。それまでに両国政府の関係者が綿密な打ち合わせを行って内容を詰める。

両国の首脳がその筋書きに沿って話を進めていけば成功裏に終わるのだが、トランプ氏のような政治家であると突然、「不規則発言」をする可能性がある。その時に、どういった流れになるのかは誰も読めない。だが、今回の会談ではトランプ氏は脱線せずに話をまとめたようだ。

というのも、日本が2027年度に防衛費をGDP比で2%にするといったことや、対米投資で1兆ドルという巨費を打ち上げたことでトランプ氏は石破氏を、「やはり日本の首相は米大統領についてくる」と思わせたことが功を奏したと思われる。ある意味で、日本はいまだにアメリカに頭が上がらないということでもある。

エマニュエル駐日米国大使、最後の登壇

筆者撮影

2022年3月から駐日大使として東京に滞在しているラーム・エマニュエル氏(65)。バイデン政権が終わるため米国に戻ることになり、10日午前、外国特派員協会で記者会見を行った。同協会で会見を開くのは今回が3回目である。

当欄でも彼のことは何度か書いてきたが(次の駐日米大使の素顔 )、米国に戻ってから何をするのかが気になっている。今日の会見でははっきりと何をするか述べなかったが、このまま引退しないことだけは確かだろうと思う。

オプションの一つはイリノイ州知事選への立候補。そして上院議員選への出馬。同氏は2003年からイリノイ州の下院議員を務めたのち、オバマ政権では主席補佐官をやり、その後シカゴ市長、そして駐日大使になっており、私は過去30年で何度か顔を合わせているうちに、「彼の最終目標は米大統領に違いない」と思うようになった。 極めて上昇志向の強い人物なので、大統領になれなくとも大統領選に出馬してくる可能性は十分にある。

(・・・個人的にはその器ではないと思っているが・・・)

いよいよ停戦か:イスラエルとハマス

イスラエルとイスラム組織ハマスがようやく停戦合意にむけた交渉を本格化させている。

日本人にとっては地理的に遠いこともあって、なかなか両者の抗争を身近に捉えることは難しいが、イスラエル軍とハマスの戦闘はすでに14カ月にも及んでいる。イスラエル軍が軍事作戦をつづけるガザ地区では、すでに4万4000人以上が死亡しており、そろそろ幕を降ろすべきだろうかと思う。

米国、カタール、エジプトの政府高官が過去数週間、調停活動を行っており、当事者であるイスラエルとハマスもいよいよ戦争を終わらせる心づもりのようだ。来年1月20日、トランプ氏の大統領就任式があるので、バイデン・トランプ両氏はそれまでに停戦合意にこぎ着けたい意向だ。

イスラエルのカッツ国防相は16日、「これまで以上に合意に近づいてる」と述べ、停戦が現実になる可能性が高いことを示した。また複数の報道をまとめると、両者の合意は段階的に行われていく予定で、戦闘の停止からイスラエルの人質とパレスチナの囚人の交換、さらにガザ地区への援助などが行われることになるという。

これまでガザに住む230万人の約9割が避難を余儀なくされてきた。しかも何度も避難を繰り返しており、日本に住んでいる限り、こうした状況は想像すらできないほどの苦境と言える。

まだ予断を許さないが、 イスラエル軍の完全撤退、ハマスが拘束している人質の解放などにより、恒久的な和平につなげていってほしいものである。

トランプ、就任式に習近平を招待

数時間前(12月12日午前)に、トランプ次期大統領が 来年1月20日の大統領就任式に 中国の習近平国家主席を招待したというニュースが流れた。これまで中国の指導者が大統領就任式に出席したことがなかっただけに驚きである。まあ、トランプ氏ならば過去の事例にとらわれず、自身の判断で物事をきめていくことを厭わないので、トランプ流といっていいかもしれない。

このニュースはCBSニュースが複数の情報筋から得た情報として報道したもので、現時点で周氏が招待を受諾したかどうかはわかっていない。

ただ、トランプ氏は先週行われた米メディアとのインタビューで、「今週も習氏と話をしたばかりで、彼とはうまくいっている」と関係が良好であることを強調。それでも11月25日、中国製品には既存の全ての課税に加えて10%の追加関税を課す と発言しており、真意がどこにあるのか明確になっていない。一部の関係者からは米中両国は壊滅的な関税戦争に突き進むとの憂慮も示されており、来年1月にトランプ政権が発足してからどうなるのか見ものである。

それでも、中国の謝鋒駐米大使は今週、米中ビジネス協議会で「私どもは対立よりも対話を、ゼロサムゲームよりもウィンウィンの方向を選ぶべき」という習近平氏の書簡を読み上げている。本当にそうあってほしいものだが、、、。