選挙での重要人物:2020年大統領選(40)

大統領選の投票日まで2カ月を切り、トランプ・バイデン両陣営は最終コーナーにむけて追い込みに入っている。今日は少しばかりマニアックな話を書こうと思う。

大統領選の表舞台にはほとんど出てこない重要人物についてだ。トランプ側はビル・スティーピエンという男性で、バイデン側はジェニファー・オマリー・ディロンという女性だ。スティーピエンは42歳でディロンは43歳。両候補が70代なので 30歳以上も若い。

2人は選挙対策本部のトップ、つまり選対本部長をつとめている。この2人がトランプとバイデンの選挙を統括しているのだ。選対本部長の動きを注視していれば、選挙の大枠が見えてくることに気づいたのは私が大統領選の取材をはじめた1992年のことである。

ビル・クリントンがパパブッシュに挑んだ1992年、クリントン陣営にはジェームズ・カービルという頭脳明晰で行動力のある選対本部長がいた。彼がいなければクリントンの当選はなかったと思うが、候補を自分のイメージどおりに動かして票を獲りにいく姿は目をみはった。

次に私が印象に残っているのは、オバマが2012年に再選を果たした時のジム・メッシーナという選対本部長である。華やかなタイプではないが、オバマは全幅の信頼を寄せていて、私は取材をしていく過程で「メッシーナがいる限りオバマは負けないだろうなあ」と思うようになった。

再選を果たした直後、選対本部でメッシーナと抱き合うオバマ。
Photo from the White House

それでは今年はどうなのか。この続きは別の日に記したいと思う。

混沌の極み:2020年大統領選(39)

米時間2日、ドナルド・トランプ大統領はノースカロライナ州に赴き、有権者にむけて「投票を2度行うように」という驚きの発言をした。

コロナ対策として、今年は投票所に行く代わりに郵便投票で済ますことが多地域で推奨されているが、トランプ氏は「郵便投票が実際に集計されたかどうかを確認するために投票所に行ってください」と言ったあと、「もう一度、実際に投票するべきです」発言したのだ。

ノースカロライナ州は今年、約60万人が郵便投票をする予定で、トランプ氏は多くの票が不正に集計されるとしており、自分に不利にならないように故意に「二重投票」を促していると米メディアは報じている。

これを受けて、クリントン夫妻はラジオ番組に出演。バイデン氏に次のようにアドバイスをしている。「仮に11月3日に負けたとしても、すぐに敗北を認めるべきではない」というのだ。つまり今年の選挙では共和・民主両党が不正をする可能性があると同時に、警戒しているということだ。

さらにビル・クリントン氏は「トランプ陣営はあらゆることをして勝とうとするはずなので徹底的に戦い抜け」と話している。今年の選挙は紛糾しそうである。

これからが本当の戦い:2020年大統領選(38)

米民主党の全国大会が終わり、明日(24日)から共和党が民主党と同じようにバーチャルの党大会を開く。トランプ大統領が党の代表として正式に再選をスタートさせることになり、大統領選はいよいよ本格的な戦いに突入する。

現時点でのトランプ・バイデン両氏の支持率は調査会社によっても違うが、数カ月前には両氏には10ポイントほどの開きがあったが、いまは縮まってきている。

バイデン対トランプはいま「CNN:50%対46%」、「ラスムッセン・リポート:48%対44%」、「ザ・ヒル/ハリスX:45%対39%」、「フォックス・ニュース:49%対42%」といずれもバイデン氏がリードを保つが、7月15日に数字を出した時よりも開きが減った(トランプの自滅に終わるのか:2020年米大統領選(36))。

“劇薬”を副大統領候補にしたバイデンの損得勘定

米民主党のジョー・バイデン前副大統領(77)がカマラ・ハリス上院議員(55)を副大統領候補に指名したことで、大統領選はいよいよ佳境に入る。

ただハリス氏の選択は、過去の大統領選の事例と比べると異質なものと言わざるを得ない。

さらに、ハリス氏を選んだことでバイデン氏が民主党代表候補になってから進めてきた「静かな選挙戦略」が壊れ始めてもいる。 バイデン氏はそれを認識したうえで、本当にハリス氏を適任者として選んだのか。本稿ではこの2点について詳述していきたい。

from Twitter

まずハリス氏の指名は過去20年間、民主党大統領候補が選んできた副大統領候補とはいささか趣が違う。というのも民主党ではこれまで候補とは違う考え方の人物、党内的には穏健派を指名する流れがあった。

2000年の大統領選でアルバート・ゴア候補が指名したのは自分よりも穏健なジョー・リーバーマン上院議員だったし、2004年にはジョン・ケリー候補もハト派といえるジョン・エドワーズ上院議員を指名した(続きは・・・ “劇薬”を副大統領候補にしたバイデンの損得勘定 )。

トランプの自滅に終わるのか(2):2020年米大統領選(37)

前回、当ブログでアメリカ大統領選について書いたのが7月15日(トランプの自滅に終わるのか)。その時、最後に「バイデンの躍進というよりトランプの自滅と述べた方が的確かもしれない」と記した。

その後も状況は変わらず、トランプの支持率は低迷したままだ。支持率を飛躍的に回復させる最善策はコロナを収束させることだが、投票日(11月3日)までに間に合うとは思えない。むしろ現政権によるコロナ対応の悪さが目立ち、バイデンの圧勝という結果に終わるかもしれない。

さらに今日、トランプにとって悪い数字がギャラップ社から出された。7月1月から23日にかけて行われた調査によると、回答者のたった13%だけが「国の現状」に満足しているという結果だった。これほど低い数字は世界同時株安が起きた2011年11月以来のことである。

ただ同時に、共和党の岩盤支持層がトランプをあと押ししているのも事実ではある。「隠れトンラプ支持」と言われる人たちは、何が起きてもバイデンに一票入れることはないだろう。キニピアック大学の世論調査では共和党の84%がいまでもトランプを支持していると回答している。

数字だけを眺めると13%と84%は矛盾する。それは調査対象者と質問の仕方によって数字が変わるからなのだが、今後3カ月、トランプは逆風の中を進まざるを得ないのは間違いない。(敬称略)