潰し屋ーートランプ

これからはこう呼びたいと思う。

潰し屋・・・

何をつぶしているのか。オバマ政権を含めて、歴代政権が積み上げてきたさまざまな成果であり、秩序である。

TPP、パリ協定、NAFTA、中東和平への努力、そしてオバマケア。

トランプはいま、オバマ政権時代の最大の成果といえる国民皆保険を潰そうとしている。オバマケアと言われる健康保険は2010年に成立し、アメリカ人であれば誰しもが健保を持つという長年の夢がかなえられたはずだった。

だがトランプは大統領選の時から、オバマケアの撤廃を公約に掲げていた。1月の政権誕生以来、連邦議会で法律の撤廃が審議されてきたが、ここまで否決されてきた。

しかしいま連邦議会で撤廃の動きが加速している。

採決間近の税制改革法案の中に、なんとオバマケアの核心ともいえる「健保への加入義務」を撤廃する条項を入れこんだのだ。この事実は日本では大きく報道されていない。

税制法案は2600頁におよぶ長大な法案である。その中に、そっと撤廃条項を添えたのだ。

日本でいえば国保を解体するようなものである。健保に入らなくてはいけないという加入義務は、確かに若い世代の人や健康な人にとってはコストの負担かもしれない。しかし社会システムとして必須のものである。

法案が通れば今後10年で1300万人以上が健康保険を失うという結果になる。

やはりトランプは潰し屋以外の何者でもない。(敬称略)