今度はどうなる?

いろいろな方に「トランプはこれからどうなるんですか」と訊かれる。

私はヒトコト、フタコトで返事をせずに、なるべく時間を割いて丁寧に答えるようにしている。それが私の役割なのだろうと思っている。おカネをもらって話をするだけがジャーナリストの仕事ではない。

トランプの今後は依然として50%のチャンスで弾劾裁判にかけられるというのが過去数カ月間の私の見立てである。

元FBI長官だったロバート・ムラーが特別検察官に任命されて、昨年の大統領選でトランプ(陣営)とロシア政府が共謀していたかの捜査は始まったばかりだ。

捜査の期限は決められていない。報告書は出されるだろうが、この日までに捜査結果をだすという日取りは決められていない。今後1年以上を要するかもしれない。

ニクソンのウォーターゲート事件の時は、アーチボールド・コックスという独立検察官が任命された。1973年5月19日のことである。ニクソンが辞任したのが74年の8月8日なので、1年以上の歳月がたっていた。

実はワシントンポスト紙が盗聴事件を報じたのは72年6月18日で、そこからニクソンが大統領を追われるまでに2年以上もたっている。

ムラーはいまメディアとの接触を避けている。水面下で人を動かし、証拠を集め、ロシア政府の選挙介入をあらゆる方角から明らかにしようとしている。

いまはただムラーの報告を待つしかない。(敬称略)

小林秀雄の言葉

相変わらずさまざまな本を読んでいる。テレビやラジオに出るようになっても、やはり活字から離れることはない。書くことと読むことが私の支柱である。

以前、当ブログに書いたが、私は速読の講習を受けたことがある(速読がやってきた)。講習直後は本当に1冊の本を1時間以内で読めていた。

しかし、速読は技術であり、絶えず訓練をしていないとスピードは鈍る。いまは速度が落ちたが、それでも200頁の軽い読み物であれば十分に1時間以内で読了となる。

だが、敢えてゆっくり音読したくなるような本もある。3日前に本棚からひっぱり出してきた小林秀雄の対話集だ。

1983年に他界した文芸評論家なので、若い方は知らないかもしれない。けれども私が学生時代、誰かが「小林が・・・」と言ったら、それは小林秀雄を指すほどの人だった。それほど影響力のある評論家だった。

彼が作家の三好達治との対談で、こういうことを言っている。

「深刻な経験をしてきた人というのは、経験を買いかぶるね。買いかぶって馬鹿になる人の方が多いのではないか。したがって文学を甘くみるんだな。経験の方が激しいから、それに頼り過ぎるんだね」

この言葉は真理を突いている。経験は確かに大切だが、新しいものの見方を邪魔することがある。文学だけでなく、新しい分野での判断も経験に頼りがちになる。そうなると新しい領域での斬新性になかなか自分を合わせていけない。

経験は否定できない事実だけれども真理ではない。

実はこの小林と三好達治との対談は1949年に行われたもので、時代を越えていまも生きている言葉に頷くしかないのである。

プロレスラーに転向?

トランプは日本時間2日、自分のツイッターで粗暴な動画を公開。

いくらCNNやMSNBCといったリベラル系のテレビ局が嫌いでも、アメリカ大統領がツイッターでパロディ調の動画を公開する行為に、大統領としての品のなさがでている。

品格のなさだけでなく、大統領として行政府のトップにいる資格さえあるとは思えない。

頭にくると「何でもやってやる」という性格は、今後、自身の立場をも危うくするに違いない。